福島第一原発の処理済汚染水に含まれるトリチウムに関して、生体濃縮やら何やらといった用語を持ち出し、その危険性を強調し、処理水の海洋放出に反対する人々がいる。その中には科学者に分類される人や、原子核物理学を学んだと称する人々もいるのだが、皆さん、冷戦時代に核兵器の実験で地球に大量のトリチウムがばら撒かれた事、残存総量の5.4%強が毎年崩壊して無くなることを見落としている。
2023年9月3日日曜日
2019年10月14日月曜日
2019年9月20日金曜日
一昨年にあった多核種除去設備(ALPS)の不具合を、今でもあるように騒ぎ立てる前に
福島第一原発の災害・事故処理で生じた大量に蓄積されたトリチウム水の海洋投棄を巡って色々と議論があるのだが、多核種除去設備(ALPS)がトリチウム以外の核種を取りきれていないと疑惑がネット界隈で拡散している。だいたい放射脳と揶揄される類のいつもの反原発派が声を大きくしているのだが、吹聴する前に事実誤認が無いか、そして目標と整合的な主張なのかよく考えて見て欲しい。
2018年6月17日日曜日
日刊SPA!が仕掛けた放射性レンガ騒動について
不発になっているのだが、日刊SPA!の「“ウラン残土”リサイクルレンガが一般流通!?」について問題点を指摘しておきたい。
記事では人形峠のウラン採掘時の残土を再利用したレンガが製造され、一般に配布もしくは流通されていたことを問題にしているのだが、人形峠製レンガは日本原子力研究開発機構のウェブページに堂々と掲載されているモノである。
2018年3月23日金曜日
経済学を使うと人間は綺麗な空気で生活したいと言うのも大仕事
自明に思えることでも経済学者にかかると未知の領域になりがちで、その傾向は年々と高まっている。他の条件が同じならば、大気汚染を避けて生活したいと言うのも、大気汚染と転出入率を突き合せないと納得されないようだ。それぐらいの突合せならばと思うかも知れないが、雇用機会など他の要素がある上に、人間の活動が大気汚染に影響するので、大気汚染が内生変数になってしまい、なかなか正しい推定が行なえない。
2018年3月4日日曜日
たばこの有害物質の量と心疾患
喫煙の害と言うと肺がんを思い浮かべる人が多いと思うが、心疾患の発症率を引き上げる事も知られている。喫煙者本人だけではなく、受動喫煙でもリスクは増える*1。
疫学研究では研究ごとに統計的有意性があったりなかったりする*2のだが、前向きコホートで喫煙者の配偶者を持つ非喫煙者の男女の心疾患が統計的に有意だと示した研究があり(Helsing et al. (1988))、有意性が無い研究よりも識別がしっかり出来ていそうだ。
2018年2月28日水曜日
EM菌の普及促進稼動が有害な理由
『「科学至上主義」のみなさんは、どうしてEM菌がそんなに嫌いなんですかね?』と言う釣り針の大きなエントリーが上がっていることに、今頃気づいた。
科学クラスターは言葉足りずところがあって、偽科学の有害性について明確に説明しないからこういうエントリーが出てくるのだと思うが、EM菌の普及促進活動を否定すべき理由は思いつくだけでも4つある。
2018年2月21日水曜日
2018年2月19日月曜日
2018年1月16日火曜日
2018年1月14日日曜日
2017年11月12日日曜日
2017年3月27日月曜日
地下水に関する環境問題が分かる本
豊洲市場の地下水の汚染が話題なのだが、同種の話を良く知らなかったので手軽なアンチョコとして「地下水の科学」を拝読した。その重要性、構造や性質、利用史、枯渇や汚染やその他環境破壊について網羅的に紹介された本。日本地下水学会が環境問題を取材してきた共同通信社の科学部記者に書かせたもので、環境問題の側面から地下水を捉えたい人に丁度よいバランスになっている。科学とあるが、学問的な話は事細かには書いていない。築地市場移転問題にはほとんど関係が無いが、読んでおいて悪くない一冊。(目次や構成と合致しないが)以下のような話が取り上げられている。ただし、日本はともかく世界はどん詰まり感がかなりあるので、鬱のときは読まない方が良いかも知れない。
2017年3月21日火曜日
2017年3月7日火曜日
豊洲市場の地下水のベンゼン濃度急上昇をどう捉えるべきか?
9回目の地下水のモニタリング調査で、ベンゼン濃度が環境基準の79倍まで急上昇した理由について、あれこれ憶測が飛んでいる。9回目の調査業者が不適切な調査を行なったので異常値が出た、8回目までの調査業者(複数)が不適切で汚染を見過ごしていたなどと色々と言われている。
さて、賑やかで楽しい事になっているが、9回目が適切だったと主張するのは無理筋なようだ。他の数字とつき合わせると9回目の結果が極めて異常であり、証言から9回目は東京都も業者も調査精度を最優先にして仕事をしようとはしていなかった事がわかる。再調査でびっくりする可能性が無いわけではないが、今の数字自体は無価値に近い。
東京都がしっかり地下水の調査を監督していなかったと言う批判はあると思うが、豊洲移転の是非を決めるような材料ではない。そもそも食材の安全性や市場関係者の健康に影響が無い地下水の汚染をそう気にする必要はないので、事態の混乱だけが気になるわけだが。
2017年1月17日火曜日
2014年5月2日金曜日
スズメ減少説のその後が分かる『スズメの謎:身近な野鳥が減っている!?』
四年前ほどにスズメ減少説が広く報道された*1。当時は減ったらしいと言う以上に確定的な事は分かっていなかったのだが、問題提起を行っていた岩手医科大学の三上修氏が研究を進めていき、情報が整理されたようだ。学術論文にだけでは無く、『スズメの謎:身近な野鳥が減っている!?』と言う一般書で研究成果の概要を紹介されていたので拝読してみた。ええ、2012年12月に出版されていたのに、一昨日まで気付かなかったのですよ。中は児童書的な装丁にも関わらず、スズメ減少とその要因だけではなく、研究動機、研究方法とその難しさについても丁寧に書かれた包括的な本になっている。情報を冷静に考えて欲しいと言う、著者の思いが垣間見える気がした。
2013年10月23日水曜日
その象牙は合法品?放射能で採集時期を特定するよ?
2013年9月11日水曜日
福島第一原発の汚染水は浄化して薄めて海に流す算段
経済評論家の池田信夫氏が『原発の汚染水は「完全にブロック」できるのか』と『なぜ原発だけ「ゼロリスク」を求められるのか』で、「(汚染水を)環境基準を定め、薄めて海に流す方針に転換すべき」と言い出しているのだが、現在議論されている内容とは異なったものとなっている。