2025年10月11日土曜日

高市早苗は内閣総理大臣になれるのか? — 少数与党の代表としての調整能力が問われている

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自民分裂選挙となり、維新が奈良県知事をとった2023年の選挙のときの奈良県連会長が高市早苗氏だ。これにより高市氏は調停能力に疑問が持たれていたのだが、早くもその懸念が現実となった。高市自民党総裁の裏金議員を復帰させた党内人事に反発から、公明党が自民党との連立を解消すると通達し、自公連立体制が崩れた。

一説では公明党の選挙協力がないと当選しなかった自民党議員は2割に上ると言われる。高市早苗氏を強く支持するSNSの高市支持の急進右派嫌税排外ポピュリストを取り込む代償としては大きなものとなった。日本保守党に流れていた票をすべて回収したとしても、見合わない。

代わりの連立相手を探すのも困難だ。国民民主党の玉木代表は色気を見せていたが、同党の最大の支援者の連合は明確に反対をしている。日本維新の会は、菅–小泉ラインを裏切って高市氏に協力してくれるのかは不明だ。自民と維新では過半数に届かず参政党も加えないといけないが、参政党の要求する法案は、党内のリベラル色の強い議員の強い反発を招くことが予想される。

少数与党として、法案ごとに他党の協力を仰ぐのも一つの手ではあるが、ここで高市早苗氏の調停能力、交渉能力が問題になってくる。高市氏は自身の派閥を持った経験がなく、幹事長の経験もない。総務大臣経験はあるが、部下となる官僚と接するのと、同僚国会議員と接するのでは話が違う。

自公党首会談後、高市氏は、公明党に総裁が私でなければ、このような連立離脱はなかったのか聞いたところ、今回の総裁選で誰が選ばれていても同じと言われたと、自身に責任が無かったようにアピールしている。しかし、誰が総裁であっても裏金議員を党や政府の役職者に復帰させたら許さなかったという話であって、高市氏の差配に関係ないと言うことでは無い。現に石破政権からは離脱しようとしなかった。高市氏は公明党から出ていたメッセージを受け取れていないのだ。高市氏としては自分が責任を負っている部分には感じていないかも知れない。人事では麻生元総理の意向が強い。しかし、重鎮の意向と他の連立与党の意見調整も自民党総裁のお仕事だ。今回はそれに大きく失敗した。

高市早苗氏に、少数与党の代表として十分な調整能力はあるのであろうか。唐突に熱狂的な高市フィーバーが起き、解散総選挙に打って出て衆議院で過半数を取ることがあったとしても、参院では少数与党である。決戦投票で自民党の同僚議員は高市氏を信任したわけだが、麻生氏の党内交渉力の結果とも報じられており、高市氏の能力はかなり疑わしいものとなっている。

自民党は10月14日に両院議員総会を開くそうだが、そこで不満が紛糾することになれば、高市氏の総裁辞任もありえるのでは無いであろうか。

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