2012年12月22日土曜日

野田政権を振り返る

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少し前に「憲政史上最高の解散宣言」と言う筆坂秀世氏の熱い記事が注目を浴びていた。

明確に解散条件を日時を示し、それに同意を求める野田総理と、その提案に曖昧な回答を繰り返す安倍総裁の討論は迫力あるものであった。気付くと安倍氏は16日に解散と言う言葉に飛びついて、議員定数削減を約束させられ、それまでの歳費2割カットを呑まされていた。

総選挙の結果は民主党の惨敗であったが、野田政権を振り返ってみたい。

鳩山・菅政権での混乱を受けた後の野田政権は、実務的な政権であった。内部分裂の激しい民主党ではあったが、かなりの成果を残している。

内政的には“税と社会保障の一体改革”では(1)消費税率引き上げ、(2)社会保障制度改革国民会議の設置*1、(3)年金の特例水準の解消を果たしている。不人気な政策だが、先送りを続けるわけにもいかない部分で前進が見られるのは成果だ。(4)金融政策では金融緩和に積極的な二名を日銀政策委員会の審議委員に送り込んだ*2

外交的にも(5)国際司法裁判所(ICJ)による紛争解決の提示を行い、(6)対米関係を大きく改善する事に成功した。自民党が何を言おうと、ホワイトハウスから野田総理に感謝とエールが贈られるのは異例だ(Youtube)。

三党合意で不毛な特例公債の発行は相互に認めるとしたのは、民主党としては不利ではあるが、政治的には建設的であろう。TPP交渉参加の是非の議論と、議員定数削減の議論を残したこと、2030年に原発ゼロと言う目標を閣議決定しなかったことも評価すべきであろう。2009年の総選挙の民主党マニフェストとはかけ離れている実績が並んでいるのが問題なのだが、実績の多い政権であったのは間違いない。

*1自民党の安倍総裁は「給付と負担のバランスがすべてなんですね。既に年金については、もうこのバランスを調整してあります」と、国民会議で決定する内容を、既に調整済みだと主張していた。野田内閣で設置が決定されていなければ、さらに先送りになった可能性がある。

*2リフレ派のささやかな政治的な勝利

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