2023年7月30日日曜日

イーロン・マスクの言語感覚:Twitterから𝕩へ

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Twitterがその名称を𝕏に変更しようと動き出した。いつぞやかの柴犬のように冗談かと思っていたら、iPhoneアプリのアイコンなどの変更にも至っている。ソフトウェアでは往々にしてあるのだが、商標やロゴの視認性、検索性といった観点から、良い状態から悪い方向への変更の典型になる。

商標では既に同業と看做されるMicrosoftとMetaがXを商標登録している*1ことが指摘されているし、そもそもアルファベット一文字だと商標登録が困難*2だと予想される。ロゴの視認性自体はアイコンから全画面拡大までスケーラブルで悪くないが、意匠がMathematical Double-Struck Capital Xをサンセリフ体にしたもので、独自性に乏しい。アルファベット一文字なので、検索性はプログラミング言語のCや統計解析環境のRと同様に悪い。

Twitterと2012年にできたロゴはは、これらの観点から非常に良い特性があるもので、知名度とあわせてTitter社の大きな資産であった。Juliaのような人名を製品名につけるケースは多いのだが、検索すると他の分野の製品と重複してしまいがちだ。しかし、twitterは一般名詞ながら製品名として利用されることは少なく、さらに製品の特性を反映している。マスク氏はスーパープラットフォーム化を目指すと言っているので、マイクロブログを連想させる名称を捨てたかったのであろうが、天才実業家ではないのでブランド価値の毀損にしか見えない名称変更である。

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