2023年7月6日木曜日

ワグネルのプリゴジンさんの反乱失敗からわかること

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ロシアの新興富裕層オリガルヒのプリゴジン氏が、6月24日に参加の民間軍事会社ワグネルにロシア南部ロストフナドヌーの司令部を占拠させ、さらに部隊の一部をモスクワに向けて進軍させたが、翌25日にベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介で進軍を停止し、プリゴジン氏はベラルーシに事実上の亡命をおこなった。ワグネルの乱。

プリゴジン氏は、補給や戦術などでショイグ国防相とゲラシモフ軍参謀総(とプーチン大統領)に不満を度々漏らしており、とくにウクライナのワグネルの戦闘員をロシア連邦軍(以下、正規軍)に編入する決定は、プリゴジン氏から組織を奪うことを意味するので強い不満を表明していた。

本当のところはプリゴジン氏にしか分からないが、現在まで出てきた話からは、ショイグ国防相とゲラシモフ軍参謀総の更迭を訴えるためにモスクワに示威行動を行ったが、正規軍に追随者が出なかったために、ロシア軍に殲滅される前に諦めたと考えられる。軍の規律を考えたらそんなんで国防相と参謀総が更迭されるわけがなく、専門家の皆さんの困惑を生んでいるのだが、満更、可能性が無かったわけではない。

ウクライナでのロシア軍の防衛線はその人数に対して長すぎると言う英国防省あたりの指摘があるのだが、ウクライナ領内の防衛線に兵員をなるべくはりつけているために、ロシア領内にロシア軍はほとんどおらず、武力でワグネルを鎮圧するにはウクライナの部隊をモスクワに移動させる必要があった。国家親衛隊で対処する方法も無いわけではないが、武装した兵士と戦うための部隊ではなく軽武装である。

ウクライナ軍の反攻が開始された戦況で、ウクライナから兵員をロシアに戻すのは、特別軍事作戦の敗北の可能性を高める。ワグネルが公称どおり2万5000名いるのであれば、迅速に殲滅するには10万人といかなくても、それに近い兵員がいる。プリゴジン氏は特別軍事作戦を失敗に終わらせられたくなければ、国防相と参謀総を更迭しろとプーチン大統領を脅すことはできた。

もちろんチキンゲーム。特別軍事作戦の失敗は、プーチン大統領にとって致命的であるだけではなく、そうなった場合はプリゴジン氏の命もない。頭のおかしい方が勝つわけだが、最終的にはプーチン大統領が勝利した。ウクライナ南部ザポリージャ原子力発電所がこのまま無事に終戦を迎えられるか心配になる。カホフカダムはもう破壊されたし。

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