2017年11月8日水曜日

待機児童解消と幼児教育無償化は平行して実行される事になっている

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NPO団体代表の駒崎弘樹氏が「幼児教育無償化は、幼稚園業界への利益供与か」と言うブログのエントリーで、幼児教育無償化だけではなく待機児童解消にも施策が必要だと主張している。しかし、安心して欲しい。政府によるとだが、駒崎氏の願いは叶う方向だ。

自民党の2017年衆院選の公約を読むと「2020年度までに、3歳から5歳までのすべての子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化」と並べて『待機児童解消を達成するため、「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに、32万人分の保育の受け皿整備を進めます』とある*1

ところで駒崎弘樹氏は、ちょっと現行制度を勘違いしているかも知れない。保育所と幼稚園を同種の施設と捉えている。しかし、現在の保育所は教育サービスではなく、厚生労働省所管の託児サービスと言う位置づけである*2。また、大半の保護者は子どもの教育のためではなく、自身の就業のために保育所を利用しているのは明らかだ。ゆえに、幼児教育無償化は幼稚園の方を無償化する理屈はあっても、保育所を無償化する理屈は通らない。幼保一元化の流れもあるので中身は同じと見ても、教育対象と見なせない年齢では幼児教育と見なすのは難しい。

幼児教育の枠外で保育無償化は可能であろうか。自民党はもともと保育所の充実に乗り気な政党ではない。2012年末の選挙公約をチェックすると、自民党は(3歳時以上の)就学前教育の充実を狙って来て、民主党は待機児童解消による女性の労働参加の支援を指向していた*3。また、一人あたり月額40万円以上かかると言われる0歳児保育の無償化を実際に行なうと、一部の地方自治体が既に実施しているように、認可保育所に0歳児を受け入れさせなくなる可能性も少なくない。

*1なお、「子育て安心プラン」は2017年度に待機児童ゼロを実現する予定であった「待機児童解消加速化プラン」の追加施策であり、2017年5月に出されたものである。5月時点よりは2年“前倒し”になるのだが、当初予定よりは上手くいっても3年遅れとなる。

*2関連記事:保育園落ちた日本死ね!!!騒動で見落とされている事

*3関連記事:民主党と自民党の子育て支援の性質の違い

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