2012年12月18日火曜日

活断層の上の原発は稼働してはいけない理由

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災害の発生確率×被害金額をリスク評価の基準にすることは多い。しかし、発生確率も被害金額も分からない場合は、不確実性の世界に入るので、計算ができない。

活断層上の原発の再稼動問題は、その不確実性の世界になっている。だから、活断層の上の原発は稼働してはいけない。

断層地震の発生確率は、誰も正確にはわからない。周期性は無さそうだが、一般的に仮定される指数分布だとも限らない。つまり、実は周期的なのかも知れない*1。指数分布だとしても、真のパラメーターは誰も知らない。観測されている発生回数が少ないからだ。

被害金額は、青天井になる可能性がある。特に原発建屋が活断層の上にのっていたら何が起きるかが分からない。「日本の地震防災・活断層」にある、1927年北丹後地震の地震断層を見てみよう。

道路が3mぐらいずれている。原発建屋でコレが起きたら、パイプ類の切断どころか、制御棒の挿入さえも危うい事態になりかねない。

冗談のように聞こえるかも知れないが、地震に対する原発のリスク評価は、?×0=0で無ければいけない*2。地震の発生確率が分からないのだから、地震被害を限りなく小さくしないと、便益が費用を上回るとは言えないわけだ。リスクと言うよりも、不確実性の問題。だから、活断層の上の原発は稼働してはいけない*3

*1周期性があると、大昔に動いた活断層でも、思ったよりもリスクが高くなる。例えば、2万年前に動いた活断層が今後1年間に動くリスクは1/20000と思いがちだが、もし2万年ごとにきっちり動く周期性があれば、リスクは100%になる。つまり分布が特定できない限り、リスクと言うより、不確実性の世界になる。

*2もっともらしく計算もできるが意味が無い。建設費2,000億円であと20年稼動する原発を考える。活断層が指数分布で平均700年ごとに10兆円の被害をもたらすとすると、20年間の期待損害は2,816億円になる。10兆円が大げさに思えるが、福島第一のケースでは、事故時の日本中の原発停止による追加燃料代2年分と、代替する発電所の復旧費用、損害賠償と廃炉費用でそれを超えそうだし、社会的混乱が発生した。しかし分布も、平均発生間隔もドンブリ勘定なので、計算したリスクは意味の無い数字にしかならない。

*3原発敷地内にあるだけで建屋に関係ない場合も、強度計算をして安全性は確認する必要がある。

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