2013年10月23日水曜日

その象牙は合法品?放射能で採集時期を特定するよ?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

象の密猟は後を絶たない。世界に42万3000頭しか象は残っていないのに、毎年2万5000頭が密猟されるそうだ。密猟者をその場で射殺するなど、取り締まりも過激な事になっている*1。1989年のワシントン条約締約国会議で象牙の貿易が禁止されたのだが、経済成長が著しい中国で需要が増加しており*2、密輸品の買い手があるのが原因だ。加工されてしまうと、正規品か密輸品かの違いが分からない事が、流通過程での取り締まりを困難にしているらしい。

しかし、象牙が生えた年代を測定する方法が開発された(POPSCI)。1945年から1989年の冷戦時代は核実験が頻繁に行われたせいで、放射性炭素C14の量が現在の約2倍と多かったそうだ。生物は骨を造るときに炭素をそこに取り込む。つまり、C12とC14の比率を見ることにより、骨が造られた時期を特定することができる。これから1955年以降に生成された組織であれば、0.3~1.3年以内の誤差で象の死亡日を特定できるらしい。1955年より前では17年以上の誤差が出るらしいが、実用上は問題なさそうだ。

象の増加を背景にした例外的な取引が1999年と2009年に発生していて、これらをどう識別するのかが分からないが、アフリカにある象牙であれば炭素年代測定法で十分なのであろう。同じように中国で薬として需要が増えているサイの角*3や、カバの歯などにも応用できるので、密猟者を法廷で裁くのに有益な材料を提供してくれるはずだ。

0 コメント:

コメントを投稿