2012年5月10日木曜日

関越道バス事故で分かること

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関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡した事故だが、連日の報道はツアー会社やドライバーの素性、そして規制緩和の影響についてが多くなってきたようだ。しかし、ツアー会社の違法状態は問題ではあるが、規制緩和が事故を増やしているとは言えなさそうだ。

メディアとしては、最初にガードレールの施設工事の問題などを報じてしまったのでネタ切れ気味なのかも知れないが、本質的な問題からは段々と離れていっている。

1. 規制緩和は関係ない

規制緩和後のバス事故の変化を確認したブログによると、2002年の改正道路運送法後に事業者数や輸送人員数が大幅に伸びている一方で、バスの事故件数や死傷者数は微減している。バックカメラの普及や安全運転の推進と言う要素をコントロールしたら増えているのかも知れないが、大勢に影響を与えているとは言えない。自動車はドライバーの健康状態などで偶発的に事故が起きる面もあり、不幸な一例であったと考える方が良いであろう。

2. 規制強化は必要だ

だからと言って改善しなくて良いとも思わない。以下の二つは、検討、実施される見込みだ。

2.1. 自動ブレーキ装置の義務化
前方の車に追突する危険性を感知して作動する自動ブレーキ装置があれば、死傷者を減らせた可能性がある。トラックでは義務化されるが、今回の事故でバスでも導入される見込みが高くなった。究極的には、自律走行車が望ましいであろう。Googleが開発をしているのが有名だが、既にイタリアから中国まで自動運転のバンが走りきるケースなども報道されている。人間などに信頼は置けないのだ。
2.2. ガードレール施設ルールの徹底
ガードレールと防音壁の間に隙間があったため、ガードレールに沿って走行してしまったバスが防音壁に突き刺さった事が報道されている。現在のルールでは隙間なくガードレールと防音壁が重なるようにして施設するらしいが、関越道ができた当時はこのルールがなかった(読売新聞Togetter)。

3. 人間を信じない事の重要性

他人を殺しても良いと思って車を運転している人は少数で、多くの事故は人間だから起きる不注意のためだ。飲酒運転や危険運転などはともかく、厳しくドライバーを規制しても、現在以上の安全性は確保できそうにない。改善措置としては、会社やドライバーへの規制よりも、機械的なサポートの義務化の方が効果が望める。

重大事故を発生しがちな航空分野では、管制官の指示よりも警報装置が優先されるようになっており、ヒューマン・エラーの方が良く起きる事が前提だ。それでも完全な機械化がされていないので、大西洋に墜落したAF447便のようにヒューマン・エラーは起きているが、人間を信じない方向で技術革新は進んでいる。自動車に関しても、このトレンドは避けて通れそうに無い。

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