2013年8月24日土曜日

ファイナンシャルプランナーの中原圭介に騙されるな!

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日本人は、「経済学」にだまされるな!』と言うコラムで、需要曲線と供給曲線からしておかしいと、ファイナンシャルプランナーの中原圭介氏が主張している。

しかし「あのグラフは、フローを表現できていなくて、取引や選択が瞬間的に成立するということを暗黙の前提としている」「需給曲線には時間の観念が欠けている」と指摘しているので、誤解があるようだ。

中原氏が主張するように、経済学において需給が一致する均衡が、過程や理由も無く達成されていると考えられているわけではない。

過程の方は、初級ミクロ経済学のテキストにもワルラス的/マーシャル的/クモの巣調整過程は書いてあるから、中原圭介氏の誤解はすぐ分かるであろう。「時間の観念」は卸売市場の毎日の取引を短期均衡と見なし、それが積み重なって定常状態に近づいていくと考えることが多いし、取引する人々の時間選好なども議論する。

均衡が達成される理由は、直感的には不均衡だと売り手もしくは買い手がより良い取引をしてくれる取引相手を探す余地があるため、均衡で市場が落ち着く事から分かる。各種の均衡の存在や安定性の研究は、理論経済学の古典的なトピックだ。「角谷の不動点定理」で検索すると、関連する議論が多く見つかると思う。

伝聞形式の主張が多いのだが、せめて教科書を良く読んでから批判してもらいたい。

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