2012年5月1日火曜日

無駄が多い憲法改正案

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ここに来て憲法改正案が色々と出されるようになってきた(MSN産経ニュース)。しかし、とってつけた感が否めない。

提案者が認識していないのは、クーデター後の憲法改正ではなく、法的手続きに沿った憲法改正になることだ。国会での可決に加えて、国民投票が必要であり、よほどの説得力が無い限りは憲法改正は困難だ。

改正項目が多ければ多いほど、現実味を失う。しかし、各党の憲法改正案は、改正しても無駄な事を列挙しすぎだ。

1. 改正しても無駄な事

国家元首、国旗、国歌、地方行政単位に関しては、自明もしくは重要ではないので改正項目に載せる意味が無い。

  1. 現行憲法の第1章第6条、第7条を見れば、天皇が国家元首としての意味や機能を持つ事は明記されている。国家元首だと明記する必要性は無い。
  2. 日章旗、つまり日の丸は江戸幕府が国際的に船舶旗として使い始めたので、変えようもない。戊辰戦争のときは朝的の幕府が使っていたので、靖国神社に戦利品として奉納されているし、大正になるまで卒業式などでは掲揚されなかったそうだ。賊軍の旗を使い続けているぐらいなのだから、今後も惰性で使い続ける。
  3. 国歌は代替案が出てきた事が無いので、このままであろう。軍艦行進曲や同期の桜にするわけにもいかないであろうし。そして国歌は何かのタイミングで変化しても問題が無い。米国の国歌(らしきモノ)はMy Country, 'Tis of TheeからThe Star-Spangled Bannerに変わったそうだ。
  4. みんなの党が道州制を憲法に記載しろと言っているが、現行憲法で都道府県制と明記してあるわけでもない。地方自治法改正で実現できる事を、憲法改正が必要とすると主張したら、実現が困難になるだけだと思うのだが。

他にも国防軍とか自衛軍とか「軍」という名称にこだわる前に、保持する軍事力(=自衛隊)の行使範囲を明確化する必要があると思う。例えば、自民党の改正案では憲法9条が“自衛権”の発動を妨げないとあるが、“自衛権”とは何なのか定義が必要であろう。

三十年戦争や太平洋戦争での教訓と、中国/北朝鮮/韓国と言う武力行使を辞さない隣国がいる現実の狭間で、どこまで軍事力の行使を容認するのかが日本に必要な議論だ。

分かっているって? ─ 自民党、みんなの党、たちあがれ日本の各党から、竹島を軍事奪回すべきだとか聞いたことが無い。自衛権の発動を認めたら、即、我が国の領土から軍事力で外国勢力を排除すべきだと言う議論になるはず。ここで強硬になれない政党が、憲法改正で「国防軍」と言い出しても説得力は全く無い。

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