2010年8月15日日曜日

野犬とコウモリに憑いた死神

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狂犬病は、発病後は有効な手段が無い、現在でも死を招く病気だ。人畜共通のウイルスによって引き起こされる感染症で、発病した動物は人間に対して攻撃性を増すので、ウイルスを持つ動物に噛まれて感染する。現在の日本では大規模な感染は見られないが、毎年世界中で約5万人の死者を出していると言われる。

最近でもインドネシアとペルーで、狂犬病の大規模発生がニュースになっている。インドネシアでは、観光地のバリ島で狂犬病が拡大し、2008年11月以降は死者が78人に達しているらしい。バリ島では、土着のヒンズー教の影響から野犬を駆除することに抵抗があるためか、予防が進まないらしい(時事ドットコム)。

ペルーでも、エクアドルとの国境沿いのUrakusa地域で、 土着の民族が吸血コウモリに血を吸われた後に、狂犬病に感染する事例が相次いでいる。どうもアマゾンの森林伐採が行われて、吸血コウモリの生息域が縮小した地域では、野生生物や家畜だけではなく人間を襲うようになったらしい。また、地元民の中には、近年のアマゾン流域でよくある、低い気温と関係を示唆したものもいる(BBC)。

これでインドネシアとペルーは怖い国だと思うかも知れないが、それは正確な印象ではない。厚生労働省によると、狂犬病の根絶地域の方が数が少なく、日本が安全なだけだ。下の地図の青色の地域が狂犬病リスクがほとんど無いところだが、先進国を含めてごく一部である。そして実は、インド、バングラディッシュ、パキスタンが最も危険な地域だ。

日本は1950年に狂犬病予防法が施工され、ほぼ根絶することができたが、世界では中々、駆逐に手間取っているようだ。海外旅行に行ったときは注意が必要で、実際に2007年にフィリピンへ行った旅行者が帰国後発病して死んでいる。キツネやアライグマでも感染源になるので、海外では可愛い動物には触れずに、なるべく遠くから眺めるように心がけた方が良い。

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