2017年11月28日火曜日

アイヌの歴史は17世紀からではない

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Yahoo!ニュースの「アイヌとして生きる若者たち――薄れゆく民族意識の中で」と言う記事の出だし部分、「アイヌ民族。17世紀ごろより東北地方の一部から北海道、旧樺太(サハリン)などに定住し、自然とともに生きてきたとされる」が大嘘だと、ネット界隈で突っ込まれている。2つの意味で間違いがあって、アイヌは17世紀に他地域から流入してきたわけではなく、北海道やシベリアに住んでいた人々が10世紀に確立したエスニシティになる。

瀬川拓郎氏の『アイヌ学入門』の記述によれば、北海道の縄文文化が、七世紀から九世紀にかけての本州からの倭人の入植の他、ツングース系民族など周辺文化圏の影響を受けつつ徐々に変化し、十世紀ぐらいにアイヌとしてのエスニシティが確立され(P.132)、その後も倭人との交易など交流が続き、今のイメージのアイヌ民族は十八世紀以降に形成されたそうだ。(ギリシャ人やローマ人などに比較すると)文献や遺跡が乏しい民族であり今後の研究で細部が変化することはあり得るが、17世紀に他からやってきて定住したと言う話には絶対にならない。

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