2017年10月20日金曜日

全要素生産性(TFP)の推移を確認して、国士様になってよ!

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国士は自分の事は省みずもっぱら国の事を心配する人物、国士様はネット右翼の事を指す。どういう機会で彼らが憂国の士になったのかは知る由も無いが、日本人である限り、あなたがそうなるかも知れない魔法の数字がこの世に存在する。全要素生産性(TFP)の推移だ。慣習的には毎年の変化率を見る*1のだが、乗算をして水準の変化のグラフにしてみた。

日本国はもう駄目ぽ・・・と言う感じである。イタリアもこっちおいで。日本は同じ資本・労働投入量だとすると、26年前の価値は遠く生産できない。技術後退である。ただし、新興国との競争が厳しくなって、日本製品の国際市場での価値が落ちたため・・・などと理屈をつける前に、TFPの作り方は知っておいた方がよいかも知れない。TFP、そう分かりやすい指標ではない。

生産関数を仮定して、国内総生産から労働投入と資本投入による寄与を除いた数なので、生産関数、労働投入、資本投入として何を使うかによって値が変わる。上のグラフで用いた数字は、説明を読む限り、コブ=ダグラス型の生産関数を仮定したシンプルなもので計算しているが、もっと扱いづらい関数を仮定できないことも無いであろう。なお、経験的には労働の質や資本の質を精緻化していくと、TFPの値は小さくなりTFP成長率も小さくなるそうだ。

GDPギャップの計測では、このTFPは線形トレンドで変化していく事になっていたりするのだが、日本の場合は20世紀と21世紀でTFPの落ち方に随分と差があって、日本の行く末だけではなく、GDPギャップの推定値*2まで不安になる。

追記(2017/10/20 22:55):ジョルゲンソン・ハーバード大学教授が日米のTFPの差を分析したところ、1991年にもっとも差が小さくなり、製造業のTFPの差は1980年代までに解消し、非製造業におけるTFPの差が日米の違いになっている。図を見る限りは、最近は製造業も負けている気がしなくもなく。

追記(2017/10/20 23:13):TFP成長率に寄与していないからアベノミクスは失敗と言う感想が出ていたが、政府予定の実質成長率2%を実現するためには、今までより高いTFP成長率が必要なので、その通りである。2000年から2014年までの傾向に人口動態の影響を加味すると、年率0.6%にしかならない。

*1以下になるが、このギザギザから情報を読み取るのは難しい。

*2関連記事:需給ギャップの謎、もしくは名称問題、もしくはGDPギャップを知っているフリをするための知識

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