2017年7月24日月曜日

ネット世論調査は回答者数が多くても、標本の偏りが激しい

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最近の安倍内閣の支持率急落を受けて、ネット界隈の安倍総理のファンが回答者数が多いネット世論調査ではもっと支持率が高いので、新聞社や通信社などが行なっている世論調査の結果がおかしいと言い出している。ちょっと前までは、アンチ安倍の人々が世論調査の数字を疑っていた。しかし、社会調査法のイロハで教わる事だが、明らかにネット世論調査の方がおかしいので、もっとそれらしい他の陰謀論を考えて欲しい。

1. ネット世論調査は、特定サービス利用者や特定メディア読者だけが回答者

現状のネット世論調査は、特定サービス利用者や特定メディア読者が気が向いたら応えると言うものになっている。ニコニコアンケートにしろ、日本経済新聞のクイックVoteにしろ、そこに好んでアクセスしている人々が回答者になるし、SNSで自分で投票を募っても自分が繋がっている範囲かそこらの意見しか拾えない。また、そういうアンケートに応えることに興味が無い人のところに、押しかけて意見を聞くような事もない。

2. 新聞社や通信社は、偏りが出ないように工夫を重ねている

新聞社や通信社などが行なっている世論調査の場合は、なるべく有権者全体の中からランダムに回答者を選ぼうと工夫しているし、受動的な有権者からも、電話や訪問によって働きかける事により、意見を引き出そうと努力している。なお、今はと言うか昨年から各社ともケータイ電話も対象にするようになっているし、日中電話に出られない人の意見を聞くために、夜間にかけなおすような事も行なわれている。

3. 標本サイズを何万にしても精度改善は僅か

標本サイズ、つまり回答者数が小さいように感じるようだが、支持するか否かの二択で真の支持率が50%であれば、回答者数1000で95%信頼区間は47%~53%である。回答者数を1万人にすれば49%~51%になるが、大して精度が改善していない事が分かるであろう。標本の偏りの方がずっと問題になる。将来的にネット世論調査が標本の偏りを改善できる可能性はあるが、現時点では全く信頼が置けないと言うしかない。

なお、新聞社も大所帯だから担当によって知識の偏りが出てしまうのか、新聞社で社説を書いている人々は統計に疎いときがあるので、各社の世論調査の数字の解釈は常に正しいとは限らないからご注意を。

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