2017年6月26日月曜日

「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件を、京都産業大学が満たしていたとして

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ネット界隈の安倍総理の支持者たちが、毎日新聞や朝日新聞が報じて来た、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件によって、京都産業大学が獣医学部新設を断念した言う話が、虚偽であると主張している。

2017年6月13日に国家戦略特区諮問会議の有識者議員が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件で、京都府と京都産業大学の提案は対象外になっていないと証言したこと、『広域的に存在しない地域』と言う条件が出た後も一校限りという条件が公知されるまでは京都産業大学の活動が継続している事が挙げられている理由だ。

流出した2016年10月ごろに作成された文科省の内部文書では、「競合があった場合、事業者選定にさらに時間がかかる見込み」と記載されているので、競合と言う表現からこの時点で既に一校に絞ろうという意図が見えるのはさておき、問題の条件を京都産業大学が満たしていて、さらに京都産業大学は新設を断念していないとしよう。あちこちに辻褄のあわない動きがある。

1. 官邸や他のメディアは否定していない

2017年5月22日に「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件によって、京都産業大学が獣医学部新設を断念した言う報道を朝日新聞が行い、5月24日に毎日新聞が追随しており、共産党や民進党の議員も国会等で指摘しているが、官邸は「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件で、京都府と京都産業大学の提案は対象外になったと言う話を否定していない。大きく世論の関心を集めており、支持率の急激な低下が生じているわけで、動機が想像できない不作為だ。読売新聞や産経新聞など政権擁護的なメディアも、朝日新聞や毎日新聞の報道が誤りだと報道していない。官邸、京都府、京都産業大学に取材をしたらすぐに分かる事なのにである。

2. 山本地方創生相に裏を取る必要がある

「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件を書いた人物は、山本幸三・地方創生相である事が6月15日に明かされた*1。「一校に限り」と言う条件をつけたのも、6月13日に山本幸三氏である事が明かされている*2。この問題において政治判断を下したのは山本幸三氏である事になったわけだ。京都府と京都産業大学の提案が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と言う条件を満たしているのか、有識者議員が言うように「長年提案を続けてきたことなどを踏まえ、今治市」と言う判断理由*3が政府方針なのか、山本幸三氏に聞く必要があるであろう。

3. 複数提案を比較検討した資料が無いのが問題

今治市と加計学園系列の岡山理科大学の提案と、京都府と京都産業大学の提案との比較検討をした資料を作成しておけば、5月中にそれを公開して終わっていた話だ。縁故主義などが無いとしても、今治市と加計学園に決まった理由や経緯を明確に提示できない行政プロセスは、十分批判に値する。

*1全文表示 | 加計学園めぐる「萩生田修正指示」 山本地方創生相が一転「自分が...」 : J-CASTニュース

*2なお、山本地方創生相は隠していたわけではなく、5月22日の参議院決算委員会での答弁で、共産党の小池議員からの質問に対して「総理からの指示はまったくない、私が決めた。私が指示、指揮してやっている」と説明している。ここで京都産業大学は「広域的に…」の条件は満たしていると答弁していたら、随分と話は変わっていただろうが。

*3この理屈は、京都府や京都産業大学が頑張っても加計学園が有利が揺るぐような基準ではない。もしこれが本当の理由だとすると、加計学園に利益誘導をした疑惑が晴れる事はないであろう。

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