2017年5月31日水曜日

受動喫煙の害の疫学エビデンスは“事情を考えると”それなりある

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公共の場の間接喫煙対策は臭い煙たいと言う不快感の抑制で正当化しても良いと思っているのだが、どうも健康問題に落とし込まないと気がすまない性癖の人が相当数いる。はっきりしない面があると言われると、ショックのようだ。しかし、そう落ち込む事は無い。計量分析に伴う厄介な状況を認識しつつ疫学分析を見れば、受動喫煙の害のエビデンスはそれなりある。前のエントリーと逆な事を言い出して・・・などとは言わないように。

間接喫煙の発がんリスクは交絡バイアスで説明不可能なぐらい大きいのか?

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喫煙に大きなリスクがあることが分かっているし、動物実験では副流煙の健康被害が示されているので、間接喫煙の発がんリスクがあると見なす事自体は不自然でもないのだが、疫学的な計量分析は信憑性がそう高くない段階で留まっている。また、未知の因子が真の原因であり、間接喫煙はその交絡因子とたまたま相関しているだけと言う疑念は、ランダム化比較実験を行なえない以上、計量的には最後まで残る。

2017年5月29日月曜日

科学的に飲食店内の副流煙が有害と言えるのか?

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飲食店内などを原則禁煙(完全分煙された喫煙室は設置可)にしようとする健康増進法改正案に関して、賛否が色々とあるようだ。この改正の正当化をしたいあまりに、科学的なエビデンスを過剰に喧伝している人々がいるので批判したい。疫学調査から得られた統計は有意性も効果量も弱いものであって、喫煙習慣による発がんリスク上昇を知らなければ、そんなに強い信念を持てない分析結果であるはずだ。

2017年5月28日日曜日

加計学園問題:安倍総理のクローニー・キャピタリズム疑惑

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前川前事務次官の証言により官邸からのトップダウンで、加計学園系列の岡山理科大学が今治市に獣医学部の設置が認可された事が明らかになりつつある加計学園問題だが、何が問題なのか分からないと言う人を少なからず見かける。政治中枢にクローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)が蔓延っている可能性を示唆していることに気づいていないようだ。トップダウンで下した決定に公益性が認めれらなければ、そうである蓋然性はかなり高い。

2017年5月25日木曜日

安倍総理が憲法9条改正で民進党・前原誠司案に乗る

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前々からなのだが、民進党の前原誠司氏は、憲法条文からは自衛隊の位置づけが明確ではないことを指摘しており、前原氏の前にも同様のことを言っていた人はいると思うが、憲法9条に第3項を新設して自衛隊の位置付けを明記するよう主張している。2016年9月4日の民進党代表選におけるNHKの番組における討論でもそう主張していた。2017年5月3日、安倍総理はビデオメッセージでこれを踏襲した案を明らかにした。

2017年5月24日水曜日

ポストモダンはその修辞法と共に消えるべき

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物理学者のアラン・ソーカルがフランス現代思想における数学・科学用語の濫用を荒っぽい方法で批判した後、ポストモダン界隈の仲正昌樹氏がソーカルの批判は枝葉末節で本質的ではないと、ソーカル事件からポストモダン批判をする人々を批判しているそうだ。これに関して批評家の山川賢一氏が、仲正氏のポストモダン擁護を批判している*1

人工知能×布教文学×ポストモダン

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ディープラーニング界隈のエヴァンジェリスト松尾豊氏が「ディープラーニングと進化」と言う計算機工学と生命科学をごっちゃにした怪文書を書いていた。恐らくディープラーニングは素晴らしいという布教文学なのだが、ポストモダン的になっていてちょっとひどい。文意が取れない人も多いだろうが、ハチャメチャぶりを紹介しよう。

2017年5月13日土曜日

労働市場シグナリング仮説と外部効果の推定量

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大学で学んだ事を仕事に活かしているかと聞かれて、答えに詰まる人は多いと思う。高等教育を受けている人の生涯賃金が高い事は分かっているが、医療系専門職などを除けば大学教育が職能を高めているかは明確では無い。

名のある企業家に大学中退者は少なくない。文系どころか理系で研究開発に従事する人で学部の専門とは全く違う事をするケースも数多くある。プログラミングをしていると、大学の教育内容を使っていたりするので職能を高めそうな気はするが、大学に通っていなくても知識として習得できているのも確かである。

2017年5月11日木曜日

“オレの考えた最強の移民政策選手権”だった「移民の経済学」

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移民に関わる政策論争は昔からあるが、未だに議論は尽きていない。欧州では、中東やアフリカからの難民が社会的軋轢を引き起こしているし、中国でも周辺国から単純労働者が流れ込んで問題になっているようで、外国人労働者のポイント制を始めて入国管理を強化しており、日本でも生産年齢人口の減少を背景に、移民受け入れの是非が話されている。しかし、移民政策に関しての基本的知識を持つ人は多くは無い。