2016年11月26日土曜日

巫俗と朴槿恵大統領辞任要求デモ

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毎日新聞記者の澤田克己氏が朴槿恵大統領辞任要求デモが盛り上がった理由として、大統領の相談役である崔順実氏が、伝統的には最下層の賤民に位置づけられる巫俗(ムーダン)であることを理由の一つに挙げている*1のだが、「まったく専門性のない人間が国政の指南をしていたことが許せん」と言うだけで、巫俗が最下層の賤民である事は関係ない気がしなくも無い。あえて巫俗に問題があるとするならば、まだ李氏朝鮮のときに巫俗が政治に関わった結果の方を、意識している人の方が多いと思う。

大統領夫人のナンシー・レーガンが占い師に相談してレーガン大統領の日程を決めていた、ミャンマーのネピドーへの首都移転は占いの結果のような国外の伝説の他にも、日本でも占い師に相談をしていた政治家はいると伝えられている。これらは肯定的に受け入れられているケースは記憶に無いが、大事にはなっていない。「まったく専門性のない人間が国政の指南をしていたことが許せん」と言うのは正論だが、演説原稿の添削をしてもらっていただけで辞職を求めるのも違和感がある。なぜ、韓国だけ大事になってしまうのであろうか。

朴政権の経済運営に不満があるだけと言う説明も見かけるが、財閥が支配的なのは朴政権に始まった事ではない。巫俗が絡んでいなくても他の政権にも色々と問題はあったが、大統領辞任要求デモがここまで大きくなった事は無い。巫俗自体に何かひっかかるものがあるのであろう。そして歴史を振り返ると、やはり巫俗は縁起が悪い存在だ。李氏朝鮮の末期に高宗の后である閔妃が、巫俗に莫大なお金をつぎ込んで財政悪化を招いたことは広く知られている。また、閔妃は権力闘争に明け暮れ、無益な政治的混乱を招いたと理解されている。たぶん、夫が養子縁組後に実子を産んだ日野富子や淀君が政局を混乱させたぐらいは、駄目な人だと思われている。

儒教国家なので「聖人を指導者として、人々がその聖人の言動を模倣すること」(「儒教とは何か」P.102)をあるべき姿とし、大統領への要求が厳しいと言うのもあると思うが、巫俗の政治関与は歴史的に悪い結果を招いていることも、間接的にでも意識されているのでは無いであろうか。そう強い根拠ではないが、巫俗が最下層の賤民だからと言うよりは、まだ説明力があると思う。何はともあれ、朴氏と崔氏は昔から懇意だそうだから、大統領を選ぶ前に騒いでおくべきな気がしなくもないが。

1 コメント:

ナマケモノのkinさん さんのコメント...

>李氏朝鮮の末期に高宗の后である閔妃が、巫俗に莫大なお金をつぎ込んで財政悪化を招いたことは広く知られている。また、閔妃は権力闘争に明け暮れ、無益な政治的混乱を招いたと理解されている。たぶん、夫が養子縁組後に実子を産んだ日野富子や淀君が政局を混乱させたぐらいは、駄目な人だと思われている。

いいえ、違います(断言)

朝日新聞のこの記事を読んでみてください。

知っていますか明成(ミョンソン)皇后
http://www.asahi.com/international/history/chapter03/memory/01.html

閔妃の負の面は完全に覆い隠され、今では反日の英雄でしかありません

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