2016年6月12日日曜日

業界全体の管理職の比率が9割になる条件

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IT人材不足が深刻化、2030年には78.9万人不足に 経済産業省調べ』と言う記事が出ていて注目を集めているのだが、「日本では約47%が一般社員だが、米国では9割近くが管理職」と言う部分に引っかかった。命令をする人が9割で作業員が1割で仕事が捗る気がしない。もの凄く階層が深い組織だとありえるのか。気になったのでフェルミ推定してみる。

m階層で平均n人の部下がいるピラミッド型の組織を考えよう。中学校のある等比数列の和を考えると、組織の人数が分かる。(n^(m + 1) - 1)/(n - 1)人だ。末端の人数は(n^m)人となる。管理職の比率は((n^(m + 1) - 1)/(n - 1) - (n^m))/((n^(m + 1) - 1)/(n - 1))人となる。これを元に管理職が9割を満たすmとnを探してみよう。

効率が良い部下の数は5人ぐらいらしいので、n=5にしてmをどんどん増やしていくとどうなるか。勘が良い人は気づいていると思うが、0.2に収束する。n>1ならば、1/nが上界になるわけだ。最初の予想と異なり階層mではなく、部下の平均人数nが問題になることになる。nが1.111…未満でないと、mが幾ら深くても到達できない。日本の約53%が管理職と言うのも部下の数が平均1.88人になるので、部付部長のような部下無し管理職がかなり存在することになるが。

サンプリングに失敗して管理職からばかりアンケートを取った可能性も高いとは思うのだが、そうで無くてもマネジメントを行わない部下無し管理職が多く含まれている事になる。米国の情報通信産業における社員教育の充実を主張している人もいたのだが、まずは数字の意味を考える必要があるようだ。なお、年収分布なども出ているのだが、サンプリングに失敗しているとすると、意味の無い情報になる。

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