2015年11月4日水曜日

消費税率を引き上げても、税収は減らなかった

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理屈は示されていないのだが、ネット界隈には消費増税をしたら税収が減ると言い続けている人々がいた*1。増税をしたら税収が減るのであれば、税率ゼロの無税国家が税収最大になるので意味不明と思わなくも無いのだが、実際に2014年4月に増税がされたわけなので、その結果と主張が合致するのかが気になる所だ。果たして、2014年度も2015年度も税収は増加する模様だ。増税による税収減少を主張していた人々は、今、何を思っているのであろうか?

平成26年度 27年3月末租税及び印紙収入、収入額調』を見ると、2014年度は前年度よりも約1割、税収が増加したようだ。『平成27年度 9月末租税及び印紙収入、収入額調』を見ると、2015年度は前年度よりも約1%、税収が増加すると見られているようだ。2015年度は中間での試算になるが、進捗割合からすると下振れの可能性は低く、むしろ大きく上振れするようだ。消費税だけではなく、所得税、法人税、相続税なども伸びている。

増税によって脱税が増加する事はあり得るが、闇経済が拡大するほどでは無かった。増税による税収減少論者は、バブル崩壊後に、所得税や相続税の減税によって税収が減少したのを消費税増税のせいだと思い込み、消費税増税によって経済成長率が鈍化するためだと理屈をつけたようだが、消費税で技術進歩や投資が阻害される理屈は無いであろうし、実際にそう言う事は無かったわけだ。

望ましい税制や税率の議論は別にあるので、消費税率引き上げの是非は別だが、そろそろ消費増税をしたら税収は増えることは認めても良いであろう。非伝統的な金融政策の効果で相殺したと主張するのかも知れないが、増税前の2013年度の経済成長率や税収の伸びが、2015年度を大きく超えるかと言うと、そうでも無いように思える。中国経済の不調を考えると、2015年度の方が不利に思えるのだが。

*1例えば「消費税増税は2年目こそ恐い」と言うエントリーで、「消費税率を上げても総税収は減る」と書いてある。なお、2012年頃には言い出していたようだ。

2 コメント:

Inaobashi さんのコメント...

See Nutahara (2015, JJIE).

uncorrelated さんのコメント...

Kengo Nutahara (2015) "Laffer Curves in Japan" Journal of the Japanese and International Economies Vol.36, pp.56-72. ですか。どちらかというと理論的な話だと思いますが、capital tax rateが取り過ぎで、これが消費税を上げると問題になると言う事ですね。法人減税を肯定するものになりそうです。

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