2015年1月23日金曜日

1997年の消費増税後に経済指標が動いたのは1998年と言う嘘

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消費税増税は2年目こそ恐い」と言うエントリーで、1997年消費税増税前後の企業と政府の資金過不足、自殺者数のグラフを出して、消費増税の悪影響は2年目に出てくると主張している。ブログ主には何度か1997年のうちから雇用が悪化していることをグラフを見せつつ指摘しており、それに対する反応もあったので、どうも意図的に嘘をつくタイプの人のようだ。景気先行指数の有効求人倍率は、1997年8月には悪化していた。

統計を確認しなくても奇妙な所はある。資金過不足を見ているのに、なぜ消費や投資の推移を確認しないのか*1。自殺者数を見ているのに、なぜ雇用水準を確認しないのか*2。さらに1998年から悪化したとしても、なぜ不良債権問題やアジア通貨危機*3は関係なく、消費税だけが翌年から作用したと言い切れるのか。

何はともあれ1997年と2014年では各種経済指標の動きは異なっている。中国経済が不調なので歴史が繰り返される可能性もあるが、原油安は景気にはプラスであろう。もちろん1997年と2014年の経済指標の差が、デフレ脱却と言う観点から消費増税を肯定するわけではない*4。しかし、消費税が雇用の悪化や自殺率の上昇をもたらすと言うような言説は、否定されつつあるように思える。

*1GDP主要項目を見ると、実質消費は1998年には増加に転じており、リーマンショックまで増えている。民間投資の低迷が(その是非は別として)主問題だと理解できる。

*21997年は消費増税前から雇用が芳しくなく、2014年の消費増税前後は雇用改善が続いている。

*3リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響」「補足:リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響」を参照。

*4標準的な経済学では財政赤字が物価水準を決定することになるので、インフレ期待に影響があると主張はできるはずだ。

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