2013年10月5日土曜日

聴衆は感動してと言うより、周囲に影響されて拍手する

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オペラなどの聴衆の拍手は感激を表すもののように捉えられる事が多いが、最近の研究によるとそんな事は無いようだ。スウェーデンとドイツの数学者と生物学者の研究チームの実験と分析によると、大半の人々は周囲がどの程度拍手しているかによって拍手を開始するか否かを決めており、長時間の拍手は好まないそうだ(POPSCI)。

研究チームは小規模な学生のグループに二つの異なるパワーポイントのプレゼンテーションを見せて、全員の拍手の開始と終了を記録した。その傾向をグラフ化(上図。灰色が拍手の開始した比率、赤色が拍手を終了した比率、ライム色が拍手をしている比率を表す)した上で、観察された様々な様式をよく説明する数理モデルを構築したそうだ。

様式と言うのは、(1)全員が一定の長さの拍手をする、(2)既に拍手をしている比率が高いほど人々は拍手をしたがる、(3)人々は近くの人が拍手を始めるときに拍手を開始するといった傾向になる。

分析結果によると、(2)の影響が強く、(1)はある程度観察され、(3)の影響は弱いようだ。なお聴衆が等しくプレゼンテーションを楽しいものだと評価したときも、拍手をどの程度の長さで終えるかは大きな差があった。

式典などで何となく拍手した経験は誰にでもあると思う。少人数へのプレゼンテーションと言うのが気になる所だが、フォーマルに人間らしい行動だと分析されたので、今後もそうやって拍手していきたい。なお、この研究はJournal of the Royal Society Interface誌に掲載されている。

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