2013年10月4日金曜日

「外国人比率の高い事業所」だけ解雇容易化をしたい?

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労働問題が御専門の濱口氏が「民法第1条第3項を適用除外する特区!?」で、経済学者の八田達夫氏などから出された解雇特区について、「法の存立構造を根本からわかっていない」と疑問を呈している。しかし労働者の権利を擁護すべきなのは分かるのだが、それ以上に制度の狙いが良く分からなかったりする。

国家戦略特区WG 規制改革提案に関する現時点での検討状況』の該当箇所を抜き出してみよう。

  1. 特区内の一定の事業所(外国人比率の高い事業所)を対象に、有期雇用の特例(使用者が、無期転換を気にせずに有期雇用できる制度に)
  2. 特区内の一定の事業所(外国人比率の高い事業所、または、開業5年以内など)を対象に、契約書面により、解雇ルールの明確化
  3. 特区内の一定の事業所(外国人比率の高い事業所、または、開業5年以内など)を対象に、労働時間ルールの適用除外

まず、解雇ルールが明確化されるのであれば、それは解雇容易化を意味するであろうから、有期や無期にこだわる必要が無いように思える。次に、外国人労働者を差別的に取り扱うと人種差別と見なされて、国際人権規約あたりに違反しそうだ。最後に、特区内の事業所と言う規模の小さな創業間もない職場で、現行の解雇ルールで不自由するのかが分からない。

整理解雇を考えよう。大企業だと配置転換などを試みないといけないが、それが不可能な中小企業にはそんな制約は無い。また積極的に解雇しなくても、中小企業は人材回転率が高いので、求人を抑えれば人員削減は容易だ。黒字企業が事業縮小をしやすくなる利点はあるが、創業5年もたたず利益を出して撤退する事業と言うのも想像が難しい。

普通解雇の容易化と言う意味で、営業成績などが悪い人材をすぐに解雇できるようにしたいのかも知れない。しかし、そういう事をしたい企業は賞与の割合を多めにして、減給によって退職に追い込めばいいように思える。また職種・職務が特定された専門職として採用すれば、その技能に疑いが出たときに比較的速やかに解雇する事もできる。

是非はともかく解雇規制緩和論で期待されているのは大企業の総合職の人員整理の容易化であるはずで、特定地域にある中小企業を狙った政策は期待されていない。ゆえに、労働者の権利擁護を第一にしたい人々にとって許し難い草案であると同時に、強欲な資本家の皆様も困惑せざるをえないのでは無いであろうか。

「外国人比率の高い事業所」とわざわざ書いてあるので何かを狙っているのだと思うが、外資の日本法人撤退が難しいなんて話は聞いた事が無いし、どういう経緯で何を狙って盛り込んだのかは誰かに取材して欲しい所。何もアイディアが浮かばなかったので、とにかく何かを盛り込もうとした可能性さえあるように思える。

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