2013年10月18日金曜日

囚人のジレンマを実際に囚人で試すとどうなるの?(カタカタカタ

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二人の被疑者が拘束されていて、それぞれ個別に隔離されて尋問されている。両方が黙秘すれば、二人とも微罪。一人だけが自白すれば、黙秘したもう片方は極刑だが、自白者は無罪。二人とも自白すれば、二人とも重罪。このとき二人とも黙秘を続けられず、二人とも自白してしまう。こういう現象を囚人のジレンマと言うのは、よく知られていると思う。

この囚人のジレンマの実験を、実際に囚人を使ってやってみた研究であるKhadjavi and Lange(2013)Business Insiderで紹介されていた。

残念ながら刑期をかけた自白実験ではなく、コーヒーやタバコを報酬にした文字通りのゲームで、女囚と学生を比較したものだ。個人ブログ並みの釣りタイトル(Prisoners and their dilemma)にやられた感があるのだが、それとは別に実験結果は興味深いものとなっている。

実験は同時手番ゲームと逐次ゲームの二種類で行った。同時手番ゲームは、冒頭の囚人のジレンマそのもので、双方のプレイヤーが相手の決定を知ることができないものだ。逐次ゲームは、片方のプレイヤーが行動を決定した後で、もう片方のプレイヤーがそれを見た上で行動を決定する。

驚くべきことに同時手番ゲームでは、囚人のジレンマを回避する協力行動を、学生の37%、囚人の56%が行った。逐次ゲームでは、学生の63%が協力行動を行い、囚人はほぼ同様の数字だったという。相手の利得にも配慮する囚人は、同様の学生と比較して、相手のが自分を信じていると思う傾向があるようだ。

実際の刑期をかけたらまた異なる結果が出てくる気もするが、理論上の囚人のジレンマにおける行動と、その実験での行動の乖離は興味深いし、プレイヤーの属性の差が与える影響も興味深い。こういうニュースが広がると、ゲーム理論を元にした経済理論を現実に適応することに、不安を抱く人も出てきそうだが。

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