2013年1月7日月曜日

池田信夫がリフレ派に転身!?

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経済評論家の池田信夫氏がWoodford(2012)の一部を抜粋しつつ、名目GDPターゲットの設定に賛成だと言っている(BLOGOS)。本当に中身を読んだのか疑問なのだが、池田信夫はリフレーション政策推進派に転身したようだ。「景気対策なんて意味がない」と言っていたのに(関連記事:景気対策なんて意味がない?)。

Woodford(2012)論文はモデルも計量も出てこないサーベイになっているので、特にテクニカルと言うわけではないが、分量は多いので最終章の4 Concluding Reflectionsを読めば良いと思う。そこではゼロ金利からの脱却方法として、水準で名目GDPターゲットを設定し、財政政策を併用する事を推奨しており、さらに不動産担保証券(MBS)などの危険資産の購入スキームも比較的有効としている。

財政政策と金融政策のポリシーミックスはIS-LMモデルで言える事とほぼ同一で、また景気回復後の政策変更が適切なタイミングで行えると言う理由で名目水準GDPターゲットとなっており、「市場にきちっとした物価目標を提示することで、インフレ期待の安定と、金融市場の安定性を確保する」インフレ目標政策とは本質的には替わらない。池田信夫氏は財政・金融政策は効果が無いと批判していた*1のに、主張を突然に変更したようだ*2

*12%のインフレ目標は可能か」「積極財政というモラルハザード」「景気対策の有効性と複数均衡

*2インフレ・ターゲティングが駄目で、名目水準GDPターゲットは良いと言う主張はあり得るが、前者が機能せずに後者が機能する状況は考えづらい。Kurgman(1998)から考えれば、両方、機能するであろう。

3 コメント:

POM_DE_POM さんのコメント...

年明け早々のビックリ記事でした^^;


>危険資産の購入スキームも比較的有効としている。

池田氏の記事では「ゼロ金利では狭義の量的緩和も大規模資産購入も有効ではない」とあります。
僕は英語を読めない><;ので、どちらの解釈が正しいのか、分かりかねますが。
(過去の傾向を考えれば、池田氏の変なスイッチが入った可能性は高そうですが)


池田氏の記事を読んだ限り、デフレ脱却の主体は政府であり日銀ではないようです。
これは、従来の池田氏の主張と変わらないように思います。
NGDPターゲットも、それによってデフレを脱却するのではなく「必要以上の景気変動を引き起こさないようにNGDP基準で制限する」物と捉えているようで、インフレ予想への働きかけは考慮されていないように思います。

僕もリフレ派に転身!?とか思ったんですが、そうでも無い気がします。

uncorrelated さんのコメント...

>> POM_DE_POM さん
> 池田氏の記事では「ゼロ金利では狭義の量的緩和も大規模資産購入も有効ではない」とあります。
> 僕は英語を読めない><;ので、どちらの解釈が正しいのか、分かりかねますが。

預金支払準備の拡大(中央銀行のB/S拡大)や長期国債の購入(中央銀行のB/S構成の変化)は効果が無いそうですが、MBSの追加購入で担保ローンのコスト削減は有効であろうと書いてありました(P.80 第2段落)。

> これは、従来の池田氏の主張と変わらないように思います。

池田信夫氏は財政政策の有効性を疑い、危険性を指摘する発言もたくさんしています。
また、そもそもデフレに弊害は少ないとも言っていますね。

リフレ派に転身と言うよりは、一貫性が無いように感じます。

POM_DE_POM さんのコメント...

>預金支払準備の拡大(中央銀行のB/S拡大)や長期国債の購入(以下略

ありがとうございます。


>池田信夫氏は財政政策の有効性を疑い、危険性を指摘する発言もたくさんしています。

BLOGSのLdSygdyergさんがお前は俺か、な感じなので省略します。手抜きで申し訳ありません^^;


ツイッターでの投げやりな発言といい、もう勝手にしろ!或いは、(どうせ無理だけど)やれるもんならやってみろ!なニュアンスな記事だと、勝手に解釈しています。
本当のところは本人にしか分かりませんが。いや本人にm(以下略

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