2013年1月30日水曜日

電波オークション導入議論に欠けていたモノ

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電波オークション導入の見送りを総務省が決定したようだ(SankeiBiz)。不透明な電波割当プロセスが続くことに批判もあるのだが、以下の理由で明らかに問題がある決定でもないように思える。

  1. 排他的独占権を競売するので、消費者の払う各種利用料金に影響が出る可能性がある。事業者数が減れば、寡占化が進み、価格支配力が高まるであろう。従来は複数事業者で競争させて、消費者余剰を高めてきたが、それが出来なくなる。
  2. オークションにかける免許を返上したり、回収したりする手順が不明瞭だった。携帯電話が特にそうなのだが、実は免許は良く返上されている。事業者が持つ周波数帯域を隣接させるために、事業者間で割当を交換することもあれば、サービス停止に伴い免許返上という事もある。
  3. 電波免許の有効期限や、利用方法の制限、転売の是非が明確でないので、入札金額の算定ができない。これらを曖昧なままにして入札を行うのは、行政上のトラブルを招く可能性がある。利用していない帯域を放さない事業者も出かねないからだ。

完全競争を仮定すれば、免許代は埋没費用になる*1ので、利用料金に影響を与えず、政府収入を増やす事が出来ると言うのが推進者の論理だった。実際は寡占市場だし、政府収入増が目的ならば、今の電波利用料をもっと増やしても良い。

免許を取得する事業者の正当性が明確になるので、電波オークションは政治的に有用だと思うのだが、電波オークション導入議論には、ディティールが欠けていた。だから今回の導入見送りは、ある程度は理解できる政策決定となる。

*1埋没費用になるとも限らない。オークション開催時には、まだ事業参入を辞められるからだ。免許代が高くなれば、脱落する事業者が増える。規模生産性が無い費用関数を仮定すれば、事業者の減少は全体のコストを高め、供給曲線を変化させることになる。埋没費用ではなく、固定費用になるわけだ。なお、規模生産性がある場合は、寡占市場と見なす方が妥当であろう。

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