2013年1月28日月曜日

インフレ率2%で地銀が潰れる?

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インフレ率が2%になったら、金利が上昇して地銀の持つ債券価値が毀損して、地銀が潰れると言っている経済評論家がいるらしい。しかし、かなり大雑把な数字で検討してみたが、2%ぐらいの金利上昇は問題無さそうだ。

日本銀行の「民間金融機関の資産・負債等」から見るに、(国債+地方債+短期社債+社債)/総資産は、第一地銀で24%弱、第二地銀で20%弱となっている。債券の平均残存期間は5年程度のようだ(NFIリサーチ・レビュー)。インフレ率2%上昇にともない金利が0%から2%に上昇したとして*1、保有債券の価値が1割程度ロスして、自己資本比率を2%程度毀損する事になる。

最近は地銀の自己資本比率も10%ぐらいはあるので、2%のロスが発生したからと言って、すぐに経営不能になるわけではない。貸し渋りが発生して資本注入などが必要になるケースが無いとも言えないが、現在の欧米の状況を見る限り、そもそもインフレ率2%で金利が上昇するのかは疑問が残る*2

*1期待インフレ率=インフレ率と見なして、フィッシャー方程式を適用する。

*2「平成24年度年次経済財政報告」の「第3-1-21図 主要国の実質金利の推移」を見ると、欧米各国は実質金利がマイナスになっている。

2 コメント:

kt さんのコメント...

債権のややこしい仕組みを勉強中の身であるため
よろしければ教えて頂きたいのですが、

> 保有債券の価値が1割程度ロス

この1割とした計算はどのようなものでしょうか。

仮に債権の利回りが現行0.1%として、新発債が2%、既発債と比べて金利が20倍に上がったとき
既発債の価値は1/20になるという話を聞いたことがあります。
といっても債権本体の価格(額面価格)が変わるわけではないでしょうから、この話でいう価値とは
プレミアム部分のことだと思っています。

そうするとプレミアム部分が1/20になるため、既発債のプレミアム分は、ほぼ吹っ飛ぶ。
その毀損額が全体(市場価格)の1割程度になる。
という考え方であってますでしょうか?

uncorrelated さんのコメント...

>>kt さん
残存期間を5年として、金利0.7%(≒ゼロ金利)時の債券価格から、金利2.7%時の価格を引いた大雑把な計算です。1/(1.007^5)-1/(1.027^5) = 0.0904416 ≒ 1割ロス

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