2012年10月15日月曜日

ソフトバンクの米スプリント・ネクステル買収における勝算に関して

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ソフトバンクが米スプリント・ネクステルを買収する事が決定した(ITmedia)。iPhoneの独占販売による躍進以外は目立った売りが無いソフトバンクが、米国携帯電話市場で勝算があるのであろうか。「首をかしげざるをえないソフトバンクによるスプリント・ネクステル買収」といぶかしむ声もある。

しかし、見え透いた勝算が二つある。

  1. 規模生産性:ベライゾン・ワイヤレスが34%、AT&Tが32%のシェアを締める米携帯電話市場だが、残りも34%はあるわけだ(Advanced Telecom Services)。スプリントの17%の足がかりに規模を拡大していけたら、大手2社と張り合えるコスト構造に出来るかも知れない。LTEへの投資時期になるためタイミングも良く、日本で資金調達が可能であれば、金利面で有利になる。
  2. 為替レート予測:円高であるし、ドル安でもある。米国の低金利が一つの要因であり、米国の景気回復とともに、ドル高に動く可能性が高い。もしスプリントの経営が低調でもドル高になっていれば、ソフトバンクとしては比較的容易に売却して撤退することができる。

他にも、おサイフ・ケータイ等のサービスを持ち込む気かも知れない。しかし、B/Sが大きくなる買収は大好きだが、ボーダフォンから携帯電話事業を買収した後は設備投資を抑制していた*1し、FTTHADSL時代のようには積極的に事業拡大を行っていない。

もちろん伝わってくる噂からすると、孫正義氏が細かい算段をつけて飛び込むとも思えないので、こういう推測は野暮と言えば野暮だ。どうなるのかは、神のみぞ知ると言う所であろう。ともかく、米国の規制当局にはお悔やみを申し上げたい*2

*12010年度は3,515億円、2011年度は4,228億円と、2009年度の1,848億円と比較して大幅に拡大している。

*2ソフトバンク社は総務省やNTTと軋轢を生んできた。2004年に800MHz帯の利用方針を巡って総務省を提訴しているし、ダークファイバーの開放を求める議論もあった。一方で、ボーダフォン買収にともない割当を受けていた1.7GHz帯の免許を返上したり、不必要にコロケーション・スペースを占拠して同業他社を妨害したり、過去においては問題行動も少なく無い。

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