2012年8月10日金曜日

売春需要が下がると売春供給が増える事はあるか?

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公権力の介入で強制的に売春需要が下がったときに、売春供給が増えうるかと言う、とても政策論争に密着した質問がエミコヤマ氏から飛んできた。結論は、ありえる。

ディスカッションしたのだが、整理整頓せずに話して混乱させてしまった気がするので、図示してその例を示したい。開発経済学では著名なHousehold-modelモデル*1を売春市場に当てはめることで、そのような現象を考える事ができる。

教科書的な需要-供給曲線で、供給曲線は右肩上がりなのは、企業が生産を行っており労働者を雇えるからだ。しかし、売春婦のような個人事業主になると、自身の労働供給が制約になっている。つまり収入と余暇(=非労働時間)のバランスが売春婦にとって重要になり、供給曲線に影響を与えうる。

まずは、家計の予算制約を見てみよう。

所得(Income)と労働(Labor)のトレードオフなので、左上が売春婦にとって望ましい、右下が劣悪な状態になる。売春価格が高いといは高い予算制約線、低いときは低い予算制約線になる。Uhは高い予算で効用(=生活満足度)を最大化する無差別曲線、Ulは低い予算の無差別曲線だ。予算制約線の上で、なるべく左上の方の無差別曲線と接する点が選択されている。

売春単価が下がり、低い予算制約線になったときに、労働供給がLhからLlに増えている事が分かる。つまり、この家計では価格効果よりも所得効果の方が大きいわけだ。

需要-供給曲線を見てみると、こういうことになる。

D-Dhが需要が高いとき、D-Dlが需要が低いときの需要曲線で、SSが供給曲線になる。Eが均衡点、Pは価格だ。F(L)が実際のサービス生産量になる。もはや当然だが、SS線は右肩下がりになる。

売春防止で需要抑制アプローチをとると、売春価格が下がり、売春婦の生活水準が悪化する一方で、売春自体が増加するわけだ。売春婦が収入と余暇のトレードオフに直面しており、売春以外の仕事を行え無い事がモデルにとって重要になる。

売春婦が粗暴な夫に働かされているケースなどは、より収入に重きが行き余暇が軽んじられる事になるが、そのバランスはともかくトレードオフが成立していればモデルを当てはめる事ができる。ただし、SS線の傾きはトレードオフがどの程度あるかに依存するので、何はともあれ限界まで働く売春婦だとSS線は垂直になる。

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