2012年7月9日月曜日

インサイダー取引で大騒ぎする当然

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インサイダー取引で大騒ぎする愚」で、インサイダー取引は公平性の観点では問題だが、効率性の観点からは必ずしも悪ではないと主張している。

自分の頭で考えると、こうなっちゃうのか残念だと言うお話だ。企業が効率よく資金を調達できるようにするためには、一般投資家を保護し、資本市場を維持する必要があり、公平性は重要だと言うのは常識的な話だからだ。

1. インサイダー情報を放置すると市場が崩壊する

株式市場にしろ、銀行間市場にしろ、資本市場とはインサイダー情報を得られない第三者から資金を出させる仕組みだ。情報面で不公平があった場合は、特別な情報を持たない第三者(uninformed trader)が市場からいなくなってしまう。相場は勝ち負けがつく場所で、常に負け続ける運命であったら、参加する意味が無い。

もちろんインサイダー情報を知っている市場参加者(informed trader)や、インサイダー情報を知っているフリをする市場参加者(noise trader)もいる。しかし、インサイダー情報を野放しにしたら、特別な情報を持たない市場参加者が取引をする意味がなくなってしまう。すると市場が縮小するか、消滅する事になる。

2. トータルで見てインサイダー取引で一般投資家は損をする

インサイダー取引でuninformedが得をするケースもあると言うけれど、これは全体を見ると誤解に近い。

事前に売りが入って株価が下落することで、その銘柄を買おうと思っていた情報を知らない投資家はより安い値段で購入することができる。

これはinformed traderの動きからuninformed traderが情報を得たという展開だが、良く考えて欲しい。informed が確実に勝っている一方で、uninformed traderは確率的に負けている。一部の例外的なuninformed traderは勝ったのかも知れないが、その他の大勢は負けている。少なくとも高値で掴まされたtraderは負けている。

3. インサイダー情報の監視体制について

昔はかなり困難であったと思われる、玄人しかいない相場だった。一応、鉱山が発見されたとか、重要情報が出たときは広まるまで取引がストップしたりしていたが。今は随分と状況が異なる。

本当に適切に取り締まることができているのか?

リアルタイムに値動きや取引量を監視していて、怪しい動きがあった場合は調査されることになっている(自動監視で摘発は容易!インサイダー取引は儲からない)。

関係者は自分達のインサイダーの立場を利用しているのではないか?

関係者が取引する場合は届出がいるし、怪しい動きが検知されたらまず疑われる。なお、新商品の発表情報を掴んだ報道関係者などもインサイダー取引で検挙される時代なので、疑われそうになくても絶対に安全な人はいないはずだ(NHK職員によるインサイダー取引事件,「東京地検、日本経済新聞社社員をインサイダー取引容疑で逮捕」)。

絶対にインサイダー取引をさせない事はできないと思うが、簡単にはインサイダー取引をさせない事はできていると考えられる。

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