2012年7月15日日曜日

消費税率引き上げ延期派?反対派?

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恐らく主流派の意見ではないけれど、金利が安く景気が悪いときに増税するのは得ではないと考える人々もいる。特に消費税に関しては、先延ばしにしても良いのではないかと、ノーベル賞経済学者のクルッグマンも2年前だが言っている*1。しかし、日本でリフレ派と思われている経済評論家は、どうも増税自体に反対のようだ。

原田泰氏は社会保障の削減で増税を回避できると主張し*2、片岡剛士氏、上念司氏、田中秀臣氏は経済成長やインフレ課税で増税を回避できる*3と主張し、さらに高橋洋一氏は徴税漏れ防止で増税を回避できると主張しているようだ(日経ビジネスオンライン)。マクロ的には徴税漏れ防止は増税と等しい気がするが、増税反対派と言っていいであろう。

目標インフレ率の引き上げ*4や、消費税インボイス*5の導入は議論すべき政策だと思うが、税者番号の導入も決まっているし、そして社会保障費の削減無しでは消費税率25%が必要*6と言われている状況では、消費税率10%への引き上げが過剰だとは思えない。先延ばしも一つの手段ではあるが、今すぐ消費税率が上がるわけでもなく、既に雇用情勢は回復してきている。リーマンショック後に5.1%になった失業率は、4.4%にまで低下した(図録▽失業率の推移(日本と主要国))。

*12010年8月の現代ビジネス+[講談社]では導入延期を主張している。ただしNYTでは、社会保障のために使われて高額所得者への課税が不可能な場合は、消費税にも賛成するとも言っている。

*2関連記事:消費税アップは15年後でよい ─ 社会保障の削減ができれば by 原田泰

*3年金制度がマクロスライド制で、物価上昇で生活保護の費用も増加すると思われることから、生産年齢人口が減少中に名目成長しても社会保障費負担が十分に減少するかは疑わしい。

*4関連記事:「デフレ脱却優先論の論理的陥穽」に関して説明を試みる

*5関連記事:コンビニで買い物をしたらiPad 2が当たった!

*6民主党も自民党も2020年度までにプライマリー・バランスを均衡させると言っているが、現状で26兆円ぐらいの赤字なので、消費税10%化で増える10兆円では間に合っていない(日本の財政関係資料)。

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