2012年6月13日水曜日

大飯原発再稼働に関する内田樹、池田信夫の見解について

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大飯原発再稼働に関して、思想家の内田樹氏のエッセイに関して、経済評論家の池田信夫氏が批判をしている。

内田樹氏に関しては、関西の電力事情と大飯原発の安全性対策を認識していないようだ。また、リスクの期間構造と情報の非対称性への認識に違和感を感じる。問題点を列挙してみよう。

  1. 関東よりも関西の方が原発停止の影響は大きい。関西電力の昨夏最大電力3100万kW(家庭800万kW、業務用1200万kW、産業用1100万kW)(大阪府)と、関西電力の原発比率48%を考えると、全家庭が電気を止めると原発停止で電力不足になる(関西電力)。
  2. 大飯原発では精力的に安全対策が取り組まれており、3.11前よりはリスクが軽減されている(関西電力)。
  3. 責任回避のために妥当な事故究明が行われ無いと主張は、一見、原子力は識者が限られた技術であるので妥当に思える。しかし、事故発生プロセスを見る限りは、むしろ原子力関係者よりも津波や建築工学の専門家の方が知見が高いように思える。
  4. 長期短期の利益を相反すると言う主張に無理を感じる。短期の便益計算も長期の計算に含まれる為、長短で世代間対立でも無い限り、短期的に便益がリスクを上回れば長期的にも便益がリスクを上回る可能性が高い。

池田信夫氏は、専門家が出した数字を能天気に信じすぎるきらいがある。内田氏が指摘するように、「確率論的には無視できるほどのリスク」が本当は評価ミスであり、もっと大きな発生確率である事はありえる。福島第一原発への津波規模の想定が不十分であった事が、専門家の確率計算が常に妥当とは言えない事を示している。

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