2012年4月9日月曜日

消費税を地方に回して地方交付税の廃止をすると

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大阪市長の橋下氏の持論「地方交付税と補助金を廃止すれば20兆円くらいになる。消費税は地方に回せばいい」を、驚くような結果は無いが、検討してみよう。

H23年度政府予算を見ると、4%の消費税と1%の地方消費税を合計すると全国で12兆7488億円の税収があり、地方交付税交付金は17兆4348億円ある。なるほど、国は困らない。

1. 大阪府は潤う

H22大阪府の歳入内訳(当初予算)を見ると、地方交付税は2995億円(8.1%)、地方消費税清算金は1954億円(5.3%)。地方交付税を廃止して、消費税を全て地方消費税にすると、1兆0026億円4,821億円収入が増える事になる。大阪府は財政が豊かになるわけだ。

2. 岐阜県は歳入が減る

H23岐阜県の歳入内訳(当初予算)を見ると、地方交付税は1768億円(23.7%)、地方消費税清算金は392億円(5.3%)。地方交付税を廃止して、消費税を全て地方消費税にすると、200億円収入が減る事になる。

3. 沖縄県は歳入が大きく減る

H22沖縄県の歳入内訳(当初予算)を見ると、地方交付税は1885億円(31.1%)、地方消費税清算金は210億円(3.5%)。地方交付税を廃止して、消費税を全て地方消費税にすると、1045億円収入が減る事になる。

4. 北海道も歳入が大きく減る

H22北海道の歳入内訳(当初予算)を見ると、地方交付税は6984億円(19.4%)、地方消費税清算金は1104億円(3.1%)。地方交付税を廃止して、消費税を全て地方消費税にすると、2570億円収入が減る事になる。

5. かなりの地方自治体が財政再建団体に

消費税率も地方が決めるようになると、兵庫県と大阪府で消費税値下げ合戦が始まる可能性もあるが、大阪府は潤うことになり、かなりの地方自治体が困窮する事になる。

支出を減らせば良いように思えるかも知れないが、地方自治体の財政硬直度は高く、コスト削減にも限界がある。つまり消費税を地方に回して地方交付税の廃止をすると、破綻して財政再建団体に陥る地方自治体が増えるわけだが、橋下氏はこの事についてどう考えているのであろうか?

追記(2012/04/11 06:00):地方自治体の財政硬直度が高いと言う意味が分からないと言うコメントがあったのだが、財政硬直度は地方自治体が容易に削減できない支出の一般財源に対する比率である経常収支比率の言いかえで、年々と増加している。また、地方自治体の人件費の増加が財政硬直度を高くしているわけでもない(平成22年版地方財政白書)。

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