2012年3月12日月曜日

どマクロな景気浮揚狙いの所得再配分政策

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以前のエントリーに対して、もっと単純なモデルで所得再配分政策がGDP拡大につながると言えるのでは無いかと指摘を受けた。実は言える。学部レベルのマクロ経済学の知識でも、所得再配分が経済規模を拡大しうる事を示す事は簡単だ。

貧乏人は金持ちよりも消費性向が高いから、所得再配分は国民所得を向上させると言う論理だ。もちろんISバランス的に経常収支の赤字になりかねないし、民間最終消費支出は安定的なものではあるが、景気刺激策としては一つの手段である。

1. 学部レベルの教科書モデルによる説明

マクロ経済学で、最初に習う恒等式を思い出そう。

Y = C + I

Yは国民所得、Cは消費、Iは投資となる。

Y = cY + I

小文字のcを消費性向(=金遣いの荒さ)とすると、CはcYと展開できる。

Y = I/(1-c)

式を整理すると、投資量と消費性向で決定される。一般的なケインズ政策では、Iを増やす事で国民所得の向上を図るが、cが増えても国民所得が増える。

所得再配分政策を行うと、消費性向の低い金持ちから、消費性向の高い貧乏人へ所得が移転されるから、cが増える。内生的にIもcも定まらない世界だが、少なくとも短期であれば国民所得、つまりGDPが増える。

2. ポイントは金持ちがケチなこと

雑誌などで金持ちの消費が貧乏人を支えると書いてあるので、金持ちも貧乏人も消費性向に差が無いと思っている人がいるかも知れない。そういう人は、平成22年度年次経済財政報告 第2章 景気回復における家計の役割 第2-2-13図 所得分位別の限界消費性向を見て、金持ちと貧乏人の消費性向の違いをチェックしよう。

3. 経済評論家に(´ー`)フーンと言おう

DSGEで分析したら動学的不整合な最適政策になったりするのでは無いかとか指摘もあるのだが、クルッグマンが常にミクロ的基礎を置く必要は無いと言っているので、ここは手を抜いてしまおう。学術的な話でも無ければ十分だ。さぁ、理論的な根拠ができた。これで以下のような事を言う経済評論家をやっつけられるはずだ(池田信夫 blog(旧館))。

小倉さんが繰り返している「所得分配を平等にしたらGDPが増える」という話は、労働組合がよくいうが根拠がない。

日本の労働組合も理論武装をした方が、話が面白くなるよ!

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