2011年12月26日月曜日

米国医療保険制度改革のドタバタ

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昨年米国上下院を通過した医療保険制度改革法だが、施行段階に入っても、まだまだ難産が続いているようだ。オバマ政権は、2014年から健康保険会社が消費者に提示する給付水準やカバレッジの決定を、連邦政府から州政府に移管することにしたらしい(Los Angeles Times)。

従来の米国の医療保険制度に問題があったのは確かだ。世界で最も優れた医療技術を持ち、GDP比で最も多い医療支出を行いながら、多くの保険未加入者が存在し、医療レベルを示す指数は先進国の中でも低い。Newsweekに自虐的なエッセイも書かれているが、市場の失敗を体現するような状態となっている。

改善は幾度と無く試みられたが挫折し、オバマ政権でようやく法案が通過した。その医療保険制度改革法の内容は多岐に渡る。健康保険加入の義務化、企業の従業員への保険提供の義務化、健康保険会社の加入拒否の禁止、これらを実現するための各種補助金と手数料徴収が主な内容であろうか(東京三菱UFJ銀行)。日本や欧州のような公的医療保険制度の創設は、共和党の猛烈な反対で挫折しているため、民間保険会社に多重の制約をかける方向となっている。

代替医療や対外受精などの健康保険の適用可否が州ごとで無いと決められないというのが米国らしいが、消費者と保険会社の対立は大統領選に影響を与えかねない事もあり、現実解だと受け止められているようだ。なお、オバマ政権の改革案は維持可能な政策かは疑問がもたれており、近い将来、医療費抑制のためのさらなる改革が必要だとも言われている。

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