2011年9月4日日曜日

TPP参加へ向う野田内閣

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党内融和型で何もしないであろうと批判されている野田内閣だが、TPPへは積極的に行動を起こすようだ。

野田佳彦首相自体がTPP賛成派であるし、玄葉外相のほか、TPP反対派と見られていた鉢呂経産相もTPPに前向きと発言している(FNN)。

1. TPP反対者は農協や農業生産者の一部

日本は貿易立国なので、自由貿易は明らかに利益になる。反対は農協と農林水産関係の議員に限られるのが現状だ(関連記事:TPPに参加反対の『既得権益者』は誰?)。それも強力に保護されているのは、米・小麦・大豆等の農作物に限られ、農業生産高の23%程度(米類22.3%、麦類0.9%、豆類0.8%)にしか過ぎない。TPPにある政治的問題とは、米農家保護の是非に尽きる。

2. 日本の農業は破綻している

日本の農業は穏やかに言っても破綻している。農業総産出額は2009年で約8兆円だが、約4兆円の補助金が投入されているとされる。戸数にして80%の農家、人数にして59%の農民が、非主業農家だ。また1976年には489万戸あった農家だが、2009年には170万戸まで減少しており、や耕作放棄地の問題も知られている。手厚い保護があるのにも関わらず、常識的な採算ラインの農家は僅かで、しかも数が減少し続けているのが現実だ。

3. 米農家は規模を拡大する必要がある

非主業農家の大半は米作だと言われているが、米作は規模生産性が働く作物である。富山県の調査では、全国平均130aの耕作面積から500a以上に大規模化すると、単位面積あたりの作業時間が1/4になるそうだ。1981年には1.04ha/戸であった経営耕地面積は2009年には1.91ha/戸となっており農業の大型化は進んでいるが、さらに何倍かにする必要がある状況だ。農業者戸別所得保障制度は、この流れに逆行する為、大きな批判を受けた(関連記事:何の為の制度?戸別所得補償制度を考える上で知っておくべき、11のこと)。

もちろん一戸あたりの規模拡大は一部の主業米農家の転作や、多数の小規模な非主業米農家の廃業を意味するが、道義的に何か問題があるわけではない。

4. 鹿野農水相の発言が注目される

経済界は総じてTPP推進派だ。TPP参加に慎重とされる鹿野道彦農水相の発言が注目される。鹿野氏は戸別所得補償制度に関しては三党合意を尊重するとし、野田氏の意向を実行するとしている(SankeiBiz)。米・小麦・大豆等の生産高はGDP比0.3%にしか過ぎないし、趣味的な非主業農家への手厚い保護は、非農業従事者の理解を得られるものではない。農業改革が時代の要請になっている。後は鹿野氏が現実を直視できれば、野田内閣にとってTPP参加は現実となる。

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