2011年9月7日水曜日

喫煙者は早死にするので医療費を減らす?

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バカげたタバコ増税」と言うエントリーで、「タバコを吸わないことで長生きする人のほうが結局国家にとっては財政負担になる可能性がある」と指摘していた。ここに限らず、喫煙者は早死にするので健康保健の負担を減らすと信じている人がいる。しかし、これは恐らく間違えだ。

喫煙は疾病率を上昇し、平均余命を短くする。つまり、喫煙者は死ぬ直前まで健康なわけではない。タバコによって病気になった上で長生きする人々、つまり、死に切れない人々がいれば、社会保険制度の負担になってしまう。タバコの社会的コストは、平均余命だけでは判断できないのだ。

さて喫煙によって、どれくらい医療費が増えるのかを検証した研究は実際に存在する。International Journal of Epidemiologyに掲載された研究では、「欧米の研究では、タバコを吸う人では、吸ったことがない人に比べて平均寿命が短いにもかかわらず、一生の間にかかる医療費が男性で43%、女性で29%も高いという結果」だと指摘した上で、日本人における喫煙と医療費の関係を分析している(喫煙と医療費との関連について)。女性の医療費増加は認められなかったものの、男性は1割程度の増加が認められるそうだ。

日本の研究は追跡期間が30ヶ月と短いため、欧米ほど差が明確ではないようだ。また、齢、身体機能、飲酒、肥満指数等はコントロールされているが、健康意識バイアスも予想されるため、タバコとの因果関係だけが要因とも言い切れない。しかし、欧米と同じように喫煙者の医療費が高い事は判明しており、タバコ税の根拠の一つにはなる。少なくとも現在の所は、タバコは健康保健の負担になっている可能性が高い。

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