2011年9月7日水曜日

リーダーシップの欠如に程遠い野田佳彦

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野田佳彦氏が第95代内閣総理大臣に就任した。世襲議員では無いが官僚や労働組合出身でも無く、千葉県議から中央政界に入ってきた人物だ。思いつきは少なく堅実だと評価される。一方でリーダーシップの欠如を指摘されているようだ(産経ニュース)。

しかし、代表戦後の動きを見ている限りはリーダーシップが無いとは言えない。

1. 野田内閣の政策は明確

就任後1週間で野田氏が示した政権の方向性を見てみよう。(1)民主・自民・公明による三党合意の遵守(子ども手当と高速道路無料化の事実上の廃止、高校無償化と農業戸別所得補償の見直し)、(2)財政再建(消費税増、復興増税)、(3)TPP加入推進、(4)東アジア共同体構想の棚上げ、(5)普天間基地の辺野古移設の推進、(6)原発再稼働の方針を確認となっている。内政では財政健全化路線、外交では親米路線、エネルギー問題では極端な脱原発路線との決別を宣言したと言って良い。

2. 民主党内の対抗勢力を取り込んでいる

これらが野田首相が従来から主張している政策である事は、党内調整の意味で重要だ。閣内に入ると言う事は政策に共同責任を負うと言う事なので、野田氏が事前に主張している内容は了承していると見なされる。

マニフェストの修正もしくは延期は、鳩山政権時からの懸案事項で、党内でも対立が大きかった。菅氏はマニフェストの履行を諦めてはいたが、党内の説得に成功したとは言えない状況であった。現実的な方向性が民主党内で共通理解されつつあるのであろうが、代表戦を通じて野田氏が党内の対抗勢力を閣内等に取り込んでいる点は評価すべきであろう。

3. 個別の政策も世論調査で支持されている

世論調査の結果では、(1)三党合意の遵守と(3)TPP加入推進は、賛成が反対の倍程度ある支持率が高い政策だ。(2)消費税導入は根強い反対意見もあるが、賛成が反対を上回っている(毎日jp読売新聞)。親米路線の外交も強く支持されている所であろう(平成22年度外交に関する世論調査)。

4. 野党は反対を言えない政策

もちろん野党が賛成しないと、法案は通せない。自民・公明が全面的に反対できる政策が無いのだ。三党合意は、民主・自民・公明の合意であるから問題ない。消費税導入は、自民党のマニフェストにある。親米路線や辺野古移設計画は、自民・公明時代からの路線で、反対できるわけがない。エネルギー政策も相違点は無いようだ。

5. 野田首相は半年はリーダーシップを発揮できる

リーダーシップの定義によるが、野田首相が方向性を明示し、党内をまとめつつあるのは確かだ。姿勢が低いので目立たないが、ここ一週間の動きは迅速だ。党内組織も大幅に変更しており、前任者とはやり方も大幅に変える方針を打ち出している。

国民に訴えかけ世論を形成を図るような所は無いが、世論調査で支持を得ている政策でそれをする必要は無い。自民党は解散総選挙を求めてくるであろうが、個別の政策協議に応じざるをえないであろう。新たな懸案事項が持ち上がったときに党内意見を統一できるのかは分からないが、現在の懸案事項を片付けるだけでも野田氏は菅氏や鳩山氏を遥かに上回る業績を上げる事ができる。

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