2011年7月7日木曜日

可採年数124年の天然ガスが、2053年に枯渇するかも知れない

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脱原発で唯一現実的な選択肢はLNG火力だと思われている。

ガスタービンは技術的に成熟しており、硫黄酸化物や粒子状物質をほとんど大気中に排出しなくて良く窒素酸化物も石炭の1/3・石油の半分以下しか排出しないからだ。可採埋蔵量も豊富で、最近は水圧破砕という技術進歩で非在来天然ガスの経済的な採掘が可能になり、可採年数が倍以上に伸びたという。

これでLNG火力で原発を代替できると主張する人がいるのだが、『可採年数』が何だか分かっていない可能性がある。可採年数と言う編集されたデータは、可採埋蔵量と需要量という前提情報を隠してしまっているのを認識していないようだ。

1. 可採年数は需要量で変化する

可採年数は、ある年度の可採埋蔵量/生産量で定義される。2010年で124年の可採年数があると言う事は、可採埋蔵量の増加も生産量(=需要量)の増加も無ければ2124年まで資源枯渇しない事を意味する。なお124年は、在来型天然ガスの可採年数は2010年で62年程度と言われているので、それを倍にした数字だ。

2. 天然ガス需要は急増中

需要量も10年に25%増のペースで伸びている(EIA International Energy Statistics)。IEAの最新の見通しでは、2035年には5.14 tcmと現在の1.8 tcmの2.83倍に需要が増加する見込みだ。25年間で需要は2.83倍になる。中国やインド等の新興国のエネルギー需要が主な原因だ。

3. 需要増を考えると可採年数は長くは無い

仮に可採埋蔵量が一定で、25年2.83倍のペースで級数的に需要が伸び続ければ2054年には枯渇する。線形に需要増加が続いたとしたら、2067年には枯渇する。

枯渇が近づけば、天然ガス価格があがるので枯渇する事は無いと思うが、そのときには廉価な燃料ではなくなっている。EIAの日本の天然ガスの輸入価格は、2020年には現在の24%増、2030年には27%増が予想されている。2001年と比較すると近年は原油で3.5倍、LNGで2倍、石炭で4倍となっている事を考えると、穏やかな予測だ。

可採埋蔵量は今後も伸びると言う楽観論も当然ある。原油は可採年数を延ばしてきた。ただし近年は油田の新たな発見が少なくなっており、原油価格は高騰している(資源エネルギー庁)。天然ガスの可採年数がどれぐらい伸びるかは分からない。在来型でも倍ぐらい伸びる見通しもあるが、シェールガスなどの非在来型天然ガスの回収率が順調に増加するとも限らない。賦存量の増加は原油と同じように望めないと悲観的に考えてもおかしくないはずだ。

4. 化石燃料の枯渇前に高速増殖炉の実用化が求められる

悲観的な2053年シナリオを踏襲すると、地球温暖化を信じないLNG火力推進者の見通しが楽観的過ぎることが分かってくる。2053年には石炭・原油・天然ガスと同等の賦存量と利用率を持つ新たな資源を実用化しておく必要があるであろう。完全に化石燃料を代替できなくても、化石燃料の需要を抑えて可採年数を延ばすことができる。再生可能エネルギーもその手段になりえるが、現在のところ賦存量と利用率が高くない。2053年までに実用化できそうな利用率の高いエネルギー源は、高速増殖炉しか無いのが現実だ(関連記事:もんじゅへの1兆円が高い?小出裕章の扇動文句を考える)。結局、資源枯渇への恐怖がある以上、原子力開発は推進していくしかない。

18 コメント:

Unknown さんのコメント...

http://www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=262145
これは煽りの面が強いにしても、可採埋蔵量が増加するという見通しがかなり高い時に、それを固定して需要だけ増やすのは、ミスリードを狙ったものと言われて仕方がない。まして、別に永久機関でも何でもない核燃料サイクルへと結びつけるのは稚拙に過ぎる。

uncorrelated さんのコメント...

>>Unknown さん
コメントありがとうございます。

>可採埋蔵量が増加するという見通しがかなり高い

悲観的見通しに立った議論だとは文中で明言しております。

>永久機関でも何でもない核燃料サイクル

核燃料サイクルが完成すると原子力の賦存量は1000年になるとも言われていますね。

匿名 さんのコメント...

1000年もとうが安全性の確保されないものを採用するわけにはいかない。

uncorrelated さんのコメント...

>>noppoさん
コメントありがとうございます。
安全性の確立のための原型炉ですよね。

sadaosho さんのコメント...

>2053年までに実用化できそうな利用率の高いエネルギー源は、高速増殖炉しか無いのが現実だ

高速増殖炉が大した事故も起こさずに2050年に商業炉を実用化できるというのは、言うならば最も楽観的なシナリオであることを明記するべきです。

高速増殖炉だけ最も楽観的な見通しを採用して、天然ガスやその他再生可能エネルギーについては比較的悲観的なシナリオを前提にする理由は何なのでしょうか?

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
コメントありがとうございます。

このエントリーは、需要増加を考えると非在来型天然ガスを含めても、天然ガスの賦存量が十分ではない可能性があると言う話です。

保険的には他のテクノロジーが必要になるわけですが、再生可能エネルギーは、まだ賦存量や利用率が十分なテクノロジーでパイロット施設があるものもありません。

残るのは原子力、特に高速増殖炉になるわけです。主に政治的理由で止まっていますが、原型炉のもんじゅまでは開発が進んでいるし、もっとも有望な技術だと思っています。24時間発電できないと、始まらないので。

Unknown さんのコメント...

>主に政治的理由で止まっていますが、原型炉のもんじゅまでは開発が進んでいる

政治的理由じゃないでしょw

uncorrelated さんのコメント...

>>Unknown さん
1995年12月のナトリウム漏洩事故発生から、2005年の福井県知事のもんじゅ改造工事を了承までの期間の大半は政治的な理由によるものです。今度の事故からの復帰も、政治的理由で随分と遅れるかも知れません。

sadaosho さんのコメント...

>>uncorrelatedさん

お返事ありがとうございます。
先のコメントで私が言いたかったのは、仮に天然ガスの賦存量が十分でないとして、代替エネルギーの候補を考える場合、高速増殖炉だけを最も楽観的なシナリオを前提として話を進めているのでアンフェアに見えるということです。だから、

>再生可能エネルギーは、まだ賦存量や利用率が十分なテクノロジーでパイロット施設があるものもありません。

と決めつけるのはいささか早計に思えます。

例えば、IPCCは2050年には世界のエネルギー需要の77%を再生可能エネルギーが満たすようになるシナリオがあると発表していますし、WWFはさらに過激に100%再生可能エネルギーで供給することができるようになると主張しています。世界規模でみると賦存量は十分なようです。

http://srren.ipcc-wg3.de/report/IPCC_SRREN_SPM
http://www.wwf.or.jp/activities/lib/pdf_climate/green-energy/WWF_EnergyVisionReport.pdf

>24時間発電できないと、始まらないので。

再生可能エネルギーの問題点となるのは不安定性と稼働率の低さ、コストの高さなどだと思われますが、これは複数の発電手段(太陽光は雨の日は弱いけど、水力・風力は逆に発電能力が高くなる)を組み合わせたり、揚水発電や家庭用・自動車用蓄電池とをスマートグリッドで管理することで克服可能です。

コスト面の問題は近年のこれら再生可能エネルギーおよび蓄電池への投資金額の伸びから将来十分低下するものと期待できます。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110516/mca1105160503006-n1.htm

発電実績でも再生可能エネルギーが大幅に伸びている(2009年で風力30%以上、太陽光発電50%以上、太陽熱20%以上)のに対し、やはり高速増殖炉はほとんど進歩が見えません。

ちなみに、高速増殖炉は発電実績、投資金額の伸び共に近年伸び悩み続けています。賦存量はもっとも期待できるとしても、同種の事故を繰り返し引き起こし続けていることなども含めて個人的には期待できません。

http://www.geocities.jp/tobosaku/kouza/fbr3.html

いずれにせよ、天然ガスに代わるものとして考えられる発電手段を同じ条件、すなわち最も楽観的なシナリオ同士で比較すると、高速増殖炉だけではなく再生可能エネルギーも十分候補になることを追加するべきと思います。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaoshoさん
IPCCやWWFは再生可能エネルギーに過度に期待しているような気がします。
今の所、膨大な電気を貯められる逐電技術は揚水発電しかないのですが、コストや立地条件が厳しい側面もあります。日本以外の国では、あまり建設されていないですね。

http://www.anlyznews.com/2011/07/blog-post.html

ドイツは風力発電が一定量あるわけですが、LNG火力をスタンバイさせておく必要があり、コストや(LNGをロシアに依存するため)エネルギー安全保障上の問題を抱えたという批判も少なくありません。日本よりも風力発電の立地に向いていたはずなのですが。

また投資量と技術発展の関係ですが、ここ10年間で風力発電は画期的にコストダウンが行われましたが、太陽光発電は一定ペースで低下しているものの十分な競争力を持つに至って無いようです。FITの補助は半々ぐらいで割り当てられているのですが。投資すれば発達すると言うものでもないようです。

太陽熱発電や浮体式洋上風力発電が本格化して、それらがどれぐらい安定供給できるか、小規模な発電施設の電力をスマートグリッドで有効利用できるかは、今後解決すべき課題として依然として残っているように感じます。

それでも前者は砂漠と余熱と言う画期的な特性があるのですが、日本では利用は望めないでしょう。すると浮体式洋上風力発電が期待のテクノロジーになるわけですが、利用率は4割程度で需要追随発電は不可能である事から、スマートグリッドで複数の発電所の発電量をまとめるにしても、画期的な逐電技術は依然として必要に思えます。

http://www.anlyznews.com/2011/06/blog-post_18.html

高速増殖炉技術は、技術的特性も明らかですし、賦存量も明確なので再生可能エネルギーよりもずっと可能性があるように思えます。正確に言えば、再生可能エネルギーに必要な逐電技術の開発よりも、高速増殖炉技術の方が可能性があるように思えます。

sadaosho さんのコメント...

>>uncorrelatedさん

早速のご返信、ありがとうございます。

>IPCCやWWFは再生可能エネルギーに過度に期待しているような気がします。

同感です。ただし、JAEAの2050年高速増殖炉実用化説もまったく同様に過度に期待しているというのが私の見解です。

>高速増殖炉技術は、技術的特性も明らかですし、

「技術的特性」の内容がよくわかりませんが、もんじゅが10年間の凍結期間中十分に「技術的特性」を踏まえた事故対策を施す時間も資金も用意されていたにも関わらず、再稼働後わずか3ヵ月ちょっとで中継装置落下事故を引き起こしていることから、私にとっての信頼性はゼロになりました。

「技術的特性」云々ではなく、ほんのわずかなミス・ほころびも許されないこと自体に無理があります。そんなことを1000年にもわたって続けることは絶対に不可能です。

uncorrelatedさんがなぜ高速増殖炉に期待するのか謎です。

>画期的な逐電技術は依然として必要に思えます。

同感です。そしてこれは高速増殖炉の事故をゼロにするよりは遙かに容易に実現できる見通しがあると考えています。

というのも、蓄電技術は現在世界中の自動車・同部品メーカー、電機メーカーが全力を挙げて開発に取りかかっているからです。言うまでもありませんが、次世代の自動車にとって蓄電池の性能向上とコスト低下はまさに決定的な技術であり、これを最初に実現した企業が世界自動車産業を制することは既に完全なコンセンサスになっています。

今すぐには無理ですが、40年後にはかなり高い確率で現在の10倍程度の蓄電性能を持った電池が40分の1以下の価格で普及していることでしょう。そこらへんまでリーズナブルにならないと新興国市場には売れませんから。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
> もんじゅが10年間の凍結期間中十分に「技術的特性」を踏まえた事故対策を施す時間も資金も用意されていたにも関わらず

政治的に10年間止まっていたのは痛いですね。
原子力開発は政治的に停止する時間がとても長いです。

> 「技術的特性」云々ではなく、ほんのわずかなミス・ほころびも許されないこと自体に無理があります。

ミスに応じた被害程度があると思いますが。
1995年の事故は軽微なものでした。

> uncorrelatedさんがなぜ高速増殖炉に期待するのか謎です。

一定の出力と利用率が望める化石燃料以外の発電方式が極めて限られるからです。

> 蓄電技術は現在世界中の自動車・同部品メーカー、電機メーカーが全力を挙げて開発に取りかかっているからです。

逐電技術は何十年と開発されていますが、劣化が少なく大容量の方式は、揚水発電以外に未だに開発されていませんね。

> 40年後にはかなり高い確率で現在の10倍程度の蓄電性能を持った電池

どういう夢の技術が開発されればと思います。
風力発電とメタン生成技術の組み合わせなども検討されているみたいですね。

高速増殖炉は実際の所は物理的にも素材的にも枯れた技術を組み合わせており、実験炉で稼動する事は確認された技術です。

夢の逐電技術は、まだ素材も見えておらず、何かが稼動している状態でもない技術です。

sadaosho さんのコメント...

>>uncorrelatedさん

ご返信ありがとうございます。

>原子力開発は政治的に停止する時間がとても長いです。

技術的問題で停止する時間もとても長いです。例えばロシアの実証炉BN-800は2003年に建設が再開され2010年に初臨界を迎える予定でしたが、いつの間にか2014年運転開始になっており、4年も遅れが生じています。

uncorrelatedさんもおっしゃっているように、現在のナトリウム冷却型高速増殖炉でもちいられている技術は枯れたものであり、これ以上の画期的な技術革新は見込めません。技術的要因およびそれを原因とする政治的要因によって、日本もロシアも中国もインドも、おそらく計画から遅れ続けるか、致命的な事故を引き起こして中止になるかのどちらかでしょう。

>夢の逐電技術は、まだ素材も見えておらず、何かが稼動している状態でもない技術です。

素材は見えていますよ。例えば日本経済新聞2009年11月23日付の記事に、リチウムイオン電池の5倍の蓄電性能を引き出せるリチウム-硫黄電池の基盤技術が開発されたことが報じられています。他にも空気電池や多価イオン電池などが次世代の電池技術として注目・研究されています。もちろんこれらとは全く異なる新技術が世界のどこかで発明される可能性も大いにあります。なにせ研究開発に取り組むマンパワーと金額、そして発明された後の市場の大きさが違いますから。

従って、
>一定の出力と利用率が望める化石燃料以外の発電方式が極めて限られるからです。

これに再生可能エネルギーと高性能蓄電池との組み合わせを加える必要があると言えます。

あと、地熱発電(高温岩体発電除く)もこの条件に入ると思いますが、最も楽観的な見通しだと2050年までに全電力量の18%弱を担うことが見込まれていますね。発電特性から言っても電力量から言っても現在の原発の代替となる可能性を秘めています(政治的な諸問題は抜きにしてですよ)。

http://www.isep.or.jp/event/080221sympo2050/panel1geo.pdf

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
> 技術的問題で停止する時間もとても長いです。

ロシアの事情は確認していませんが、日本の原発は政治的に停止している時間はとても長いです。
少なくとも1995年のもんじゅの事故は軽微なものでしたが、とても政治的に時間を費やすことになりました。
原発稼働率などを日米で比較しても、米国が9割、日本が7割弱になり政治的稼働率の低さが問題になっています。

> 現在のナトリウム冷却型高速増殖炉でもちいられている技術は枯れたものであり、これ以上の画期的な技術革新は見込めません。

高速増殖炉は出力を増やす必要などは無いので、細部を詰めていく段階ですよね。

>> 夢の逐電技術は、まだ素材も見えておらず、
> 素材は見えていますよ。

幾つも素材が発案されているのは存じていますが、基礎研究の段階を出ているもの、揚水発電に匹敵するような大容量のものはまだないですよね。
半導体技術もそうなのですが、新素材が市場に浸透する可能性はとても低いものです。ゆえに素材的には固まっている高速増殖炉と比較すると、夢の部分が多いのです。

> 地熱発電(高温岩体発電除く)・・・最も楽観的な見通し

NEDOなどの見通しだと、高温岩体発電を含めて全電力の2.5%程度の賦存量しかないですよ。

ともかく「もんじゅ」で技術的特性がある程度、見極められます。再生可能エネルギーは、新技術のパイロット施設の建設が必要だと思います。

sadaosho さんのコメント...

>>uncorrelatedさん

お返事ありがとうございます。

>NEDOなどの見通しだと、高温岩体発電を含めて全電力の2.5%程度の賦存量しかないですよ。

文句は日本地熱学会に言って下さい(笑)。

この記事のテーマは、天然ガスが枯渇しうる状況を想定して、それに代わるエネルギーは何か、最も楽観的なシナリオをもとに考察すると言うことと理解しています。悲観的なシナリオを言いだしたら、小出シナリオによる高速増殖炉はいつまで経っても実現しないことになってしまいます(私のコメントで高速増殖炉2050年実現説に疑問を書いてしまったのは論点を分散させてしまいましたね。失礼しました。一応結論部分では高速増殖炉も候補に入るようにしてはいましたが)。

>半導体技術もそうなのですが、新素材が市場に浸透する可能性はとても低いものです。

これについては、イノベーションの歴史を見れば心配なくなります。「必要は発明の母である。」の一言で済みます。なにせ2050年までまだ40年近くありますから。

ところで、以下の叙述が何を意味しているのかよくわかりません。

>「もんじゅ」で技術的特性がある程度、見極められます。

uncorrelatedさんは、「技術的特性」をどのようなものとして定義しているのでしょうか?一体何を「見極め」て、枯れた技術にどのような手を加える必要があると考えているのでしょうか?

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
>「技術的特性」をどのようなものとして定義しているのでしょうか?

電池だと化学反応を用いる事による性質が技術的特性になりますね。大容量化が難しく、劣化しやすく耐久性に劣り、素材的に高コストになります。
揚水発電などは位置エネルギーを用いた「電池」なので、大容量化が可能で耐久性と低コストを実現しています。技術的特性がそもそも異なるので、同じ欠点を持たない好例だと思います。

> 一体何を「見極め」て、枯れた技術にどのような手を加える必要があると考えているのでしょうか?

手を加える必要があるのは、実際の運用に必要なノウハウと言う事になるでしょうね。オペレーションを工夫する点が多いのでしょうが、昨年の落下事故のような状況への対応ノウハウも手を加える点でしょう。

似たような例では航空機の構造はここ30年間で特に変わっていませんが、新機種ごとに安全性は高まっています。

見極める必要があるのは、フランスのスーパーフェニックスで起きたような原因不明の出力低下が発生しないかです。もんじゅでも発生したら、世界の高速増殖炉計画は技術的に随分と遅れる事でしょう。

sadaosho さんのコメント...

>>uncorrelatedさん

早速のお返事ありがとうございます。

こちらからの疑問に答えて下さり、感謝しています。できれば、「技術的特性とは~~のことである。」ときちんと定義づけて欲しかったのですが……

「その技術の化学的、物理的、機械工学的な性質のこと」あたりになるのでしょうか。

これには設計段階で意図したものと、運用段階で意図せざるかたちで現れてしまうものに分けられるような気がします。

充電池の経年劣化やスーパーフェニックスの出力低下などは後者の方に入るのでしょうね。

そのように整理すると、ナトリウム冷却型の高速増殖炉は後者、すなわち運用段階で意図せざるかたちで現れてしまう技術的特性がかなり多いことに気づかされます。そしてこのことが計画が遅れたり、近辺の住民に不信感を与え政治的要因で長期間ストップしてしまう理由であるような気がします。

確かにuncorrelatedさんのように、この「意図せざる技術的特性」を「見極める」ためには、黙々と運転を続けるしかないでしょうね。良く理解できました。

でもやっぱり個人的には不気味すぎてイヤですね。

ちなみに、おっしゃるとおり化学反応を用いる充電池には劣化の早さ、耐久性の低さ等の弱点があります。しかし「必要は発明の母」の教訓通り、例えば二代目以降のプリウスのバッテリーはケータイ用バッテリーの情けなさからは考えられないほど耐久性が高いです。タクシーとして使用していても、20万キロ以上無交換で走れたというクチコミをネット上でチラホラ見かけます。

あと、大容量化については揚水発電ほど大きくする必要はありません。車載用+αで十分です。日本には約7800万台の自動車がありますが、これらのうち非稼働のもの(およそ3分の2は堅いです)の電気をフル充電状態の2~3割程度ランダムにスマートグリッドで融通(有償買取)すれば(もちろん既存の揚水発電も利用する)十分かと思います。

uncorrelated さんのコメント...

>>sadaosho さん
必要は発明の母と言いますが、安全な原発が必要とも言えるわけで、そこは研究開発が進む方が残るのでしょうね。

しかし車のバッテリーの発展では、あまり役立たないと思います。

大半の市販車のバッテリーは鉛蓄電器なので、完全放電に近い状態を何度も繰り返すと、すぐ劣化します。
ハイブリッドカーはニッケル水素かリチウムイオンだと思いますが、安いニッケル水素も過放電に弱くメモリー効果があり、リチウムイオンも充放電を繰り返すと劣化します。二次電池として使う場合、充電と放電を頻繁に起こさないように回路を工夫して劣化を抑えています。
つまり、不安的な発電機向きでは無いです。

電力会社では、再生可能エネルギーのために二種類の「電池」を考えているみたいです。
一つは数十秒までの蓄電が可能な物理的なフライホイール・バッテリーで、応答速度のよさなどで既に系統安定化に生かしています。

http://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2009/091214.pdf#page=2

波照間などの沖縄の島々は脱原発で、再生可能エネルギーの比率が10%程度あるようです。
もう一つがNAS電池で、こちらは8時間程度の需給ギャップの解消を狙ったもののようです。これは材料が廉価でエネルギー密度が大きく高効率で超寿命(現状で15年程度)という特性があります。動作温度が300~350℃ですが。

再生可能エネルギー関連の蓄電技術で伸びそうなのは、フライホイールはある程度は枯れているので、日本の再生可能エネルギーはNAS電池と浮体式風力発電所にかかっているのでしょうね。

http://www.anlyznews.com/2011/06/blog-post_18.html

負荷平準化以前に発電できる事の証明がいるので、長崎や博多沖で実証実験は予定されていますが、早くパイロット施設を建設してもらいたいものです。

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