2011年6月24日金曜日

再生可能エネルギーの固定価格買取に入札制度を

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再生可能エネルギー促進法には、買取期間や買取価格を経済産業大臣が定めるため、適切な買取価格の設定がされるか分からない欠点がある(関連記事)。

買取価格が高すぎると、買取費用がサーチャージとして電気料金に上乗せされるため、消費者負担が増大する。買取価格が低すぎると普及促進にならない。このバランスを取るのが難しい。

1. 入札制度を再生可能エネルギー促進法に組み込もう

簡単に解決する方法がある。再生可能エネルギーを電力会社に買い取らせる権利(売却権)を、オークションで取得するように制度設計をすれば良い。例えばこんな制度はどうだろうか?

  1. 消費者負担などを考慮して、太陽光や風力などの発電源別の買取量を決める。
  2. 発電源別の発電量(1kWh)当たりの買取額を適当に決める。発電コストより高ければ問題ない。過去10年間の実績コスト等にすれば良い。
  3. 小さい単位(例:10GWh/年)を1単位として、売却権をオークションにかける。
  4. オークション利益は消費者負担の「サーチャージ」を減らすのに使う。
  5. 入札条件として、具体的な事業計画を設定する。
  6. 売却権の転売は許可する。
  7. 毎年、売却権の入札を行う。

(1)と(2)で産業界が納得するレベル以下の買取量に抑える事ができる。(2)は適当に思えるだろうが、事業者が得る超過利潤は入札で消えるので問題ない。(3)で事業者規模の多様性を保障する。(4)は消費者負担の削減を狙ったものだ。再生可能エネルギーが経済的になれば、サーチャージはゼロになる。(5)は投機資金の流入を防ぐ目的だ。(6)は天災などで事業継続が不可能になったときの為の配慮だ。(7)は電波オークションの経験を踏まえ、市場と政府が相場を理解できるようにする配慮だ。発電源別の買取量を決める資料にもなる。

追記(2011/06/24 10:00):フランスやデンマークで行われている競争入札制度に近くなる(国内外における再生可能エネルギー政策の現状)。売却権を売却するだけなので、事業者は売電の義務を負わない点が異なる。

2. 入札制度で利権の対価を払わせる

再生可能エネルギー促進法では、巨額の「利権」(=売却権)が発生しうる。利権らしきモノではなく、法的に補償された利権なので、公正に配分されないといけない。オークション制度を導入すれば、理論的には利権がその価値に見合った価格で競り落とされるので、とても公平な制度になる。

菅首相が太陽光発電の買取価格を高く設定しても、孫正義氏のソフトバンクに過大な利益を与える事は無い。利益が出たとしても、それは孫氏がライバルよりも経営が上手かった事になる。談合の発生が問題になるだろうが、入札者数が多くなると予想されるため、カルテルを結ぶのは困難なはずだ。

3. 市場メカニズムを生かした制度設計を

チラシの余白に書ける程度のアイディアだが、今、国会に提出されている制度よりはずっとマシになると思う。再生可能エネルギーの将来性自体には疑問があるが、固定価格買取制度は民主党・自民党ともにマニフェストに掲げている事で、政治的には実行しないといけない。やるのであれば、市場メカニズムをもっと上手く使う工夫が制度設計に欲しいところだ。

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