2011年5月6日金曜日

負け犬の遠吠え、しかも居酒屋での会話に、無駄に反応する必要なし

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タイトルはライブドア事件で堀江貴文氏の実刑判決がほぼ確定した後に、堀江氏のツイートに関して、事件の関係者である宮内氏のツイートだ。

宮内氏のツイートは含蓄に富む意見だが、あえて堀江氏のツイートに反応して見る事にする。4月26日の堀江氏の記者会見の内容は、金額の多寡ではなく犯情を考慮したという裁判所の見解に全く答えていなかったのだが、もっと踏み込んだ反論が当人から出るかも知れない。

つまり、堀江氏への実刑判決が当然としたこのブログのエントリーの「過去の同種事件と比較して粉飾額としては大きくは無いが、当時のライブドア社の規模からすると大きな粉飾であり、大幅赤字を大幅黒字に見せかけている」という部分に対して、最近になって堀江氏を含む数人にコメントを頂いたので、その真偽の再確認を行ってみたい。

1. 堀江氏らの指摘に証拠は添えられていない

堀江氏らのコメントを見る限り、どうも過去の報道内容が虚偽であり、私が誤解しているという指摘のようだ。そう言う事もあるかも知れないが、残念ながらコメントからは虚偽を立証する情報が添えられていない。

@takapon_jp
検察の起訴事実をベースにしてもそれは事実ではない。RT @YougenSatou: ライブドアは大幅赤字を大幅黒字に見せかけている。例えば日興コーディアル証券の場合では、粉飾の有無に関わらず、 黒字ですね。http://p.tl/ij05
@hitsuka
過去の誤報がまだ真実として認識されていることが問題 RT @takapon_jp 検察の起訴事実をベースにしてもそれは事実ではない。RT @YougenSatou: ライブドアは大幅赤字を大幅黒字に見せかけている。例えば日興コーディアル証(後略) http://p.tl/ij05
@keiichi_jpn
これ間違い。調べてないのかな? RT @YougenSatou: ライブドアは大幅赤字を大幅黒字に見せかけている。例えば日興コーディアル証券の場合では、粉飾の有無に関わらず、 黒字ですね。http://p.tl/ij05 @takapon_jp 僕だけ実刑というのは不公平

2. 『大幅赤字を大幅黒字に偽装』は誤りとは言えない

そこで、財務情報を再確認してみる。二次引用になるが、川北(2009)のP.13 図表4から、決算情報を転載してみる。

ライブドアの業績推移
(百万円)
決算期 2002年
9月
2003年
9月
2004年
9月
(虚偽記載)
2004年
9月
(修正後)
売上高 5,890 10,824 30,868 25,521
営業利益 1,185 1,461 5,654 308
経常利益 1,137 1,314 5,034 -313
ROE(=経常利益/株主資本) 17.21% 11.00% 9.40% -0.58%
当期純利益 452 488 3,577 1,343
総資産(期末) 9,332 16,639 100,219 53,556
株主資本(期末) 6,608 11,941 100,219 53,556

虚偽記載によって、赤字が黒字になっているのは確かだ。ROE-0.58%は大幅赤字には見えないかも知れないが、前年度比+283%の利益増か、前年度比-24%の利益減かの違いになると書き直すと、投資家心理に与える影響はだいぶ異なってくる。

3. 裁判所は、投資家に与えた心理的影響が甚大だと判断した

裁判所は粉飾金額の多寡ではなく、粉飾決済が一般投資家の心理に与えた影響と、損失隠ぺい型か成長仮装型かの犯情、罪に対する反省の無さに言及している。数字が投資家に与える心理的影響が問題であったのであって、粉飾金額の大小自体は重要ではない。

しかし、4月26日の堀江氏の会見では、これら裁判所の判決理由のほとんどに答えておらず、ほとんど説得力を感じなかった。そうすると宮内氏のツイートではないが、堀江氏の主張は「負け犬の遠吠え」のように聞こえてくる。「無駄に反応する必要なし」なのであろうが、粉飾決済が一般投資家の心理に与えた影響に関して、堀江氏の見解が公に語られた事は無いと記憶している。事件の中心人物がどのように主張するかについては興味深い。ぜひ、堀江氏の見解を拝聴したいと思う。

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