2010年12月5日日曜日

老舗SNSのmixiが何かおかしい

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日本を代表するソーシャル・ネットワーキング・サービスのmixiだが、最近は業界での地位が低下しているように感じられる。会員数や収益力でももちろん、その提供サービスの強化においても、迷走を感じるものが多い。

1. SNS市場での地位低下

近年はFacebook、GREE、DeNAが主な競合者になり、特にGREEと比較されることが多いmixiだが、売上で3倍、粗利益で4倍、営業利益で11倍の差をつけられている。

mixiが広告収入、GREEがゲーム内課金に依存した収益モデルであることが収益性に差をもたらしているが、今のところ2,000万人超で競っているとはいえ、2010年7月から会員数もGREEの方が多くなっている。また、GREEと比較するまでもなく、mixiのPVは低下しており、2010年7~9月期の四半期決算は売上や利益も前期を下回った(In the looop)。

2. 新機能に模倣が多く、混乱が見られる

ここ数年間でmixiの経営環境は厳しくなっていると言えるが、それに応じたサービスの改善も、混乱が見られるようだ。記憶にあるだけで、以下の8つがあげられる。

1. メールアドレスでマイミク登録
2010年10月に開始。メールアドレスを非公開にしているのに検索されてしまう、プライバシー侵害の問題が発生。上司から「キミもmixiしていたのかー!」とマイミク申請が来るなど、日々の生活がエキサイティングになる。1日で機能から無くなったが、プロフィールにメールアドレスの公開/非公開設定をできるようにしてから、機能強化するべきであった。
2. 友人の最近の動き(アクティビティ情報)
2010年10月に開始。マイミクの動きを監視するのに使えるストーカー支援機能。過去に精神科にかかっている男性が、彼とは面識の無い他人のマイミクの女性に片っ端からマイミク申請を出し、気持ち悪がられていた事があった。ストーカー気味の危ない人は即アクセス禁止にする必要があり、友達の整理が促進される。こちらは2日でデグレードされ消えた。
3. mixiカレンダー
2010年5月に、従来のカレンダー機能を発展させ開始。公開範囲の設定などの発展もあるが、標準フォーマットiCal非対応で外部データを扱えないなど、外部サイトとの連係に向上の余地がある。例えばiCal対応であれば、スマートフォンで更新したGoogleカレンダーを、mixiに反映させる等ができる。
4. mixiチェック
2010年9月に開始。ソーシャルブックマークと違い、単にブックマーク等をマイミク等に公開できる機能。設置するにはmixiデベロッパー登録が必要だが、自由度が低い。FacebookのLikeボタンの真似だと思われる。大手のポータルサイトなどで設置が進んでいるが、活発に利用しているユーザーは見かけない。
5. mixiボイス
2009年9月に開始。TwitterやWassrの模倣。専用クライアントが作れないため、ユーザビリティーに劣っている。現状では写真のアップロードもしづらい。結局、Twitterのtweetをmixiボイスに転送している人が多く、有効活用されているのか疑問な状態だ。
6. mixiアプリ
2009年8月に開始。これでmixiは、ソーシャルネットワークから、無料ゲームセンターに変化した。mixiアプリのゲーム内での関係が、mixiアカウントとつながる事もない。マイミクを誘うことはできるが、ゲーム内でマイミク同士で連係することも無い。日記を掲載するマイミクが格段に減り、アプリ更新情報だけが頻繁に更新されている。
7. mixi招待制の廃止
2009年3月に登録制へ移行した。掲示板などで他人を招待する人間が多数存在し、招待制が形骸化していたことと、紹介されなくても知人がmixi利用者である可能性が高くなったため、登録制になったようだ。
8. mixiミュージック
2006年5月~2009年12月まで存在したサービス。Windows Media Playerやitunesなどの再生履歴とmixiを同期させるサービスで、利用者の音楽的趣向をリアルタイムに記録する興味深いものだったが、WMPやitunesのバージョンアップについていけなくなったのか終了した。お知らせの履歴を振り返ると、mixiミュージック関係のアップデートが多数あるのが分かる。なお、公式発表では利用者数が伸びなかったためとされている。

(1)と(2)、(4)~(6)は模倣になっているが、mixiとしての強みを出せていない。(1)(2)は数日前のことなので覚えている人は多いであろう。mixiにはプライバシー・ポリシーやコミュニティーの方針独自の基準があって、荒らし行為やストーカー行為には厳しい運営をしていたのだが、Facebookに感化されたのか個人情報を強制的にオープンさせる方向に舵を切ろうとして、反発を受けたように見える。(4)~(6)も他社サービスの模倣になっているが、他社と比較して利用率が高いサービスにはなっていないように思える。

(3)は正常発展なのだが、現在のネットワーク事情には追いついていない。(7)は会員数の増加を狙ったものだと思われるが、特に増加を促進したわけではないようだ。ただし、(3)と(7)は施策として間違っているとは言えない。

(8)は他社で余り見られないソーシャル的な機能だったが、対応する音楽再生方法が拡大する前に、コスト増加のためか終了してしまった。例えばSonyのポータブル・オーディオ・プレイヤーの愛用者は、再生曲を反映でき無かった。

3. 実際の友人・知人とつながるSNSの限界

mixiはアイディアの行き詰まり感があるのか、ソーシャル的な利便性を向上を試みて失敗しているようだ。そもそもmixiは、実際の友人・知人とのつながりをもっているSNSを目指すと公言していたが、それは不特定多数の参加者で発展するタイプのソーシャル・サービスとは方向性が異なる。

もちろん、2009年11月のmixi同級生、2009年12月の日記の公開範囲の設定などの従来の方向性で必要となる拡張も行っている。しかし、総じて見るとmixiはその発展の方向を見失っているように感じざるをえない。

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