2010年11月27日土曜日

都市固形廃棄物を液化燃料にするプラントの建設が始まる

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ワシントン州環境省が昨年にかけていた停止命令をEPAが取り除き、ワシントン州パスコのGreen Power社(GPI)が都市固形廃棄物を液化燃料にするプラントの建設を11月29日より始めるそうだ。昨年9月にワシントン州環境省が廃棄ガスを理由にした停止命令を出したのだが、EPAが同社の燃料化プロセスを精査し、嫌気性で燃焼無しに燃料化し、窒素のような不活性ガスしか排出しないことを確認した(PES Network)。

100トンの工業用の原材料からの廃棄物を12,000ガロン(約45m3)のディーゼル燃料に変える事ができ、1ガロンあたり78セント(約66円)の費用がかかるそうだ。試験プラントでは一日に100トンの廃棄物を処理できる。ディーゼル燃料の市中価格より安いだけではなく、処分場を埋める廃棄物を減らし、環境汚染を軽減することができる。

Green Power社は、ベトナム、スペイン、フランス、ユーゴスラビア、南アフリカを含む世界中から多数の総計2億ドル(170億円)の受注をしており、来年4月から工事を開始するそうだ。南アフリカのプラントの代金は既に受け取っており、現地の土木工事は完了しており、整地され基礎工事まで終了しているとのこと。同社は、プラント製造工場で700名近くの雇用を行い、プラント輸出先でも従業員を募集するそうだ。

創業者のMichael Spitzauer氏は1億5000万ドルを投資しており、大部分をワシントン州パスコの実験プラントの建設に費やしたが、中断期間の1年間は法廷闘争に多額の費用をつぎ込み、資金繰りに苦しんだようだ。また、港湾利用の契約のために賠償責任保険も必要で、停止期間中に契約を進めていたそうだ。まだ米国からの受注はないが、Spitzauer氏は愛国心があり、"Made in the U.S.A."と製造したプラントに刻印できるのが楽しみのようだ。

プラスチックを液化燃料に変換する装置自体は珍しくなく、株式会社ブレストの伊東昭典氏のプラスチック油化装置が国連大学で紹介されたこともある。また、ゴミの燃料化は日本でも固形燃料であれば生ゴミなどからRDFが、古紙及び廃プラスチック類の産業系廃棄物からはRPFを製造している。RPFは安全性や採算性で課題が多いようだが、RDFは採算ラインにのっているそうだ。原油価格の高騰で、これらの環境技術にも芽が出てきたわけだが、そう考えるとオイル・ショックも悪いことばかりではない。

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