2010年11月16日火曜日

線形動物で爆弾を検知する

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IEDなどの爆弾の検知は、X線や金属探知機、犬の嗅覚に頼るしかないが、線形動物を使う事が可能だと、オーストラリア連邦科学産業研究機構の研究者たちが主張しているようだ(POPSCI)。

犬以外の動物でも爆弾を嗅ぎ分けることは可能だが、従来は犬ほどの信頼性は無かった。また、犬を超える信頼性がある機械も、まだ開発はされていない。しかし、1ミリ程度のサイズの線形動物Caenorhabditis elegansの嗅覚器官アンフィドは12の異なる受容器官があり、C4爆弾から発せられるニトログリセリンやシクロヘキサノンを嗅ぎ分けることができるそうだ。この線形動物は、土壌に生息し細菌類を食べており、実験動物として良く用いられている。

研究チームのリーダーであるStephen Trowell博士によると、線形動物を直接使うわけではなく、受容器官を取り出して、持ち運び可能な検知器に組み込めないか考えているようだ。受容器官を電気回路接続するようだが、詳細は明らかにされていない。線形動物の外に嗅覚器官を持ち出すと、それを働かせるためのタンパク質が必要になるが、必要なタンパク質が線形動物の外で機能するかは疑問が持たれている。また、9月上旬のオープンアクセス雑誌PLoS ONEで公表された内容では、線形動物の嗅覚器官は手製や民生用爆弾には反応するものの、軍事用の高級品は検知できないようだ。

懐疑的な見方はあるものの、研究チームの実用化への意欲は衰えておらず、オーストラリア国防省はプロトタイプ製作のために補助金を出しており、また研究チームは1月に同様の技術で特許を申請している。しかしながら、彼らの検知器が実際に動くかは、現時点では分からない。研究チームでは、食料品の品質管理や、呼気からの病気の検知などにも応用できると考えているようだ。バイオ嗅覚が実用化されれば、応用範囲は広い。

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