2010年10月8日金曜日

軍科学者と昆虫学者が蜂群崩壊症候群の原因を特定する

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2006年の秋頃から、セイヨウミツバチが一夜にして大量に失踪し、コロニーが崩壊する現象が米国各地で起こっており、20~40%のコロニーの崩壊したと言われている。欧州や日本でも少数例が報告されおり、これは蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれ、受粉作業を通じて農業への影響も大きいことから深刻な問題になっている。

しかし、POPSCINew York Timesの伝える所によると、モンタナ大学の昆虫学者たちと米国国土安全保障省の軍科学者たちの共同研究の結果、このCCDの原因がほぼ特定されたようだ。

CCDでは、個体激減が特異である。つまり、ミツバチがあらゆる方向に飛散してから死んでしまい、コロニーが崩壊してしまうため、分析のための大量のミツバチを集めることを難しくしている。しかし、米国国土安全保障省の持つ生物学的作用物質を調査する装置に、磨り潰したミツバチをかけて調査したところ、CCDのコロニーのミツバチには、真菌(Nosema ceranae)と無脊椎動物に感染する未知のイリデセント・ウイルスの痕跡が検出されることがわかったそうだ。真菌とウイルスの組み合わせは100%致命的だが、どちらかが欠けると必ずしもCCDになるとは言えない。

病原の特定は最初の第一歩に過ぎないが、真菌の予防は比較的容易であることを考えると、養蜂家にとっては朗報であろう。なお、ミツバチが死ぬ前にコロニーから外れてどこかに行く理由は、まだ分かっていない。

CCD自体は以前から見られるので、真菌とウイルスの組み合わせだけが原因とは限らないが、米国で近年、大量に報告されている理由は説明できると思われる。少なくとも、携帯電話の電磁波説などのいかがわしいに説に比べると、説得力がある。病原が分かった以上は、欧州や日本、オーストラリアなどの当局も検疫を強化するか、調査を行う必要があるだろう。問題の真菌やウイルスが流入をしたら、イチゴ、メロン、スイカ、ナシ、ナスなどの、広い範囲の農作物の生産に大きな影響が出るのは確実だ。

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