2010年9月30日木曜日

過去75年間で最悪規模、オーストラリアでイナゴが大発生

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Telegraph.co.ukThe Independentの伝える所によると、オーストラリアでイナゴの大発生(蝗害こうがい)が始まっている。マレー川の支流のダーリング川は、近年の干ばつで流量が激減していたが、豪雨によって流量が回復した。その結果、小麦収穫高は改善したようだが、イナゴの大量孵化を誘発したようだ。

実際はイナゴではなくオーストラリアトビバッタと呼ばれる昆虫だが、その分布が密集してくると、世代ごとに大型化してきて飛行能力を身につけ、最終的に大群で移動するようになるそうだ。この群生相のバッタの幼虫は、孵化してから20~25日で5回の脱皮を繰り返し、飛行能力を持つ成虫になって移動できるようになる。日中はあまり移動しないが、一夜で数百Kmも移動することもある。1Km幅の群集は、1日にその総重量の三分の一にあたる10トンもの穀物被害を与えるため、農作物への被害が心配されている。

昨年夏の暑く湿った天気と、7年間で最も湿潤な8月はバッタの孵化を促進しており、この蝗害を誘発するのに十分な気候だ。昨年で既に3世代のバッタが産まれており、2010年も最初の世代は既に産まれているそうで、記録の存在する75年間で最も大規模な発生になると予想されている。ニュー・サウス・ウェールズ農業組合は、スペインと同じ面積の影響を受けたと言っており、ビクトリア州だけで20億オーストラリア・ドルの被害を予想している。また、オーストラリアでは国民的行事の、競馬のメルボルン杯に影響(芝が食害?)が出るのではないかと心配されているそうだ。

対策としては、航空機で幼虫の集団を捜索し、殺虫剤を散布することが有効だそうだ。しかし、このスキルを持つパイロットが不足しており、また、2000年にクイーンズランド州政府の環境保護局が調査した結果では問題ないとされたが、環境面でミツバチに影響がでないか養蜂家が不満を述べており、環境保護活動家もバッタを食べる動物に影響が無いか心配している。もちろん、駆除には費用がかかり、財政上の負担となる。

ところで、大群で移動するバッタは共食いをする習性がある。旅は道連れ世は情けと言うが、バッタの場合は同行者が弁当に見えているらしい。この性質を応用して、遺伝子操作により共食いを促進するアイディアもあるようだが、自然界に遺伝子組み換えバッタを広めるかが問題になる。マラリアを駆逐する蚊のアイディアもあったが、何でもバイオテクノロジーで解決できないか考えるのが、最近の風潮のようだ。

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