2010年8月12日木曜日

この手から婚約指輪を受け取れますか?

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boston.comがアップロードしているイラク戦争の負傷兵の写真に、義手から婚約指輪を差し出す一枚がある。

2010年6月12日に、英雄支援プログラムを通じてテキサス州コンロに家を贈られたときのセレモニーで、米国海兵隊の軍曹ジャームズ・“エディー”・ライ ト(34歳)は、ガールフレンドのコーディ・ファイフに、婚約指輪をもってプロポーズをしたときの写真だ。

以下の写真で分かるように、彼女はそれを承諾して彼を抱きしめた。写真左側の年配男性の目が、心なしか潤んでいるように思えるが、もらい泣きした人も多いであろう。

ライト軍曹は、2004年に所属するブラボー・カンパニー第1偵察小隊がイラクのファルージャにて待ち伏せを受けたときの行動に対して、青銅星章を叙勲された。ロケット推進グレネード弾が彼の手と前腕を吹き飛ばし、左足の大腿骨を破壊した。創設から4年の間に、このプログラムは、イラクとアフタニスタンで深刻な傷を負った兵士のニーズに適合させた住宅を19軒、今までに提供してきたそうだ。

戦争は物資や金銭、人命に大きな被害をもたらすが、負傷者の社会への受け入れも大きな問題になる。イラク戦争では31,907人と言われる戦傷者数を出しており、重傷者だけでも13,985人いる(イラク戦争における犠牲者数)。重傷者の中に、ライト軍曹のように一生に関わる障害を負った人がどれぐらいいるかは分からない。しかし、祖国のために戦った彼らを受け入れていくというコストが、アメリカ社会全体にかかっていく事になるのは確かだ。

イラク戦争を始めたブッシュ前大統領は、任期中の2007年に傷病兵および家族の支援を7,000億ドルの防衛予算に含めるための傷病兵法案(Wounded Warrior Bill)に拒否権を発動した(JanJanニュース)。当時の日本円で約84兆円は米政府の財政にとっても小さくは無い。しかし、米国の最高指揮官は、戦場で受けた傷の負担を帰還兵だけに負わそうと考えていたのだろうか。前述のコーディ・ファイフのように、負傷した帰還兵を社会全体で支えなくても良いと考えていたのだろうか。戦争の真のコストを正しく理解して戦争を始めたのか、疑問を感じざるをえない。

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