2010年4月28日水曜日

ソフトバンクの営業利益の幾つかのトリック

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2009年度のソフトバンクの営業利益がKDDIを抜いた事が、大きめに報道されている。iPhone等のケータイ事業が好調なのは、増収になっている点から確かなのだが、営業利益をかさ上げした可能性のある幾つかの要因について見てみよう。ポイントは、設備投資関係の償却費用だ。

まず、ソフトバンクは原価償却率が、他の通信事業者と比較すると7.0%と低い。ドコモは16.1%、KDDIは15.5%となっており、ソフトバンクでは同規模の設備を持っていたとしても償却費用が少なく費用計算されている。vodafone日本法人買収ののれん代も、20年かけて償却されるらしい。

次に、設備投資の規模が、他の通信事業者と比較すると少ない。特に移動体部門は、vodafone時代はauを追い越す勢いで投資を行っているが、ソフトバンク買収後は投資水準は大きく低下している。

2008年度の数字だが、空中線設備は純額で2,454億円から2,311億円に減少している。他社と比較して緩い原価償却すら下回るペースで投資を行っているわけだ。3G網の整備が遅れていると言われているが、設備量は純減になって来ている。

次に、固定通信部門、つまりブロードバンド事業が営業利益を717億円ほど押し上げているが、この部門の営業利益は注釈が必要だ。

右の総務省の報道資料(インターネットwatchの記事より転載)によれば、2005年3月に24.6%あった市場シェアは、2009年9月には13.2%に低下している。これは、ブロードバンドの主流が同社の主力商品であったADSLからFTTHにトレンドが移ったためであり、同社のADSLサービスの加入者数は減少に転じていることもあり、固定通信部門での同社の地位低下は著しいと言える。

通信会社にとって新規顧客の獲得は、短期的には、販売促進費などの営業費用の増加を意味する。面白い事に、事業が拡大している場合は、販売促進費が負担になって営業利益が圧迫される傾向があるのだ。固定部門での利益増加は、相対的な事業規模の縮小を反映したものだと考えられるであろう。

このようにソフトバンクの決算情報を良く見ると、全体的に見ると、投資を抑え、事業規模を小さくすることで営業利益を出していると考える事ができる。主力の携帯電話事業で加入者が増加傾向にあるので短期的に問題が出ることは無いと思われるが、長期的には投資規模の減少は問題を引き起こす可能性があるので注意が必要だ。

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